▼ もやもや解せない話


日曜の少し早い時間、1通のメールが届いた。
送り主はクラスの友人で、内容は『近隣で多発してた露出抂が捕まったらしい!』と言う物。
なぜ俺にそんな知らせが?と思えば、恐らく露出抂に遭遇した事実を話したからだろう。
勿論、簡単に……だが。



「そっか……捕まったのか、あの人。」



『これで安心して公園を通れるな。』どこか実感の湧かぬまま、俺はポツリと呟いた。







夕方、俺はコンビニへ飲み物を買いに行きがてら、公園の中へ足を踏み入れる。
ここから数メートル先は、俺が露出抂と遭遇した場所だ。



「……普通に、普通の公園じゃん。」



露出抂が捕まった今、ここは平和な……どこにでもある、ただの公園で、避けて通ったあの頃が遠い昔に感じる。



「しかし馬鹿だよな、あの人も……散々、注意してやったのに、結局」






「おや、君じゃないか!!」






「っ………………え?な、んで?」



突然、背後から聞き覚えある男の声がした。
振り返ればそこに、もう二度と……本気で会う事は無いだろうと……そう思った男の姿。
俺の渡したマフラーに、例のコート……間違いない、¨露出抂¨だ。



「あんた……捕まったんじゃ……」



俺の言葉に、露出抂は眉を寄せ首を傾げた。
一体何の話しだ?と言わんばかりに。



「だって、学校のやつがメールで……捕まった、って。」

「なんだい、その詰まらない嘘は。」

「……嘘?」

「……そんな事より、君に1つ報告がある。僕は露出を止める事にしたんだ。」

「……は?」



色々と思考の追い付かない俺に、露出抂はドヤ顔で宣言してみせた。



「なーんて、嘘。」



と思ったら、次の瞬間には衣服を脱ぎ捨て、見慣れた¨露出抂¨の姿になっていた。



「ふはは、騙されたかい?今日はエイプリルフール!!君の友人より、僕の方がセンスある嘘をつけただろう?」

「エ、イプリルフール……そうか。嘘だったのか、捕まった事も、全部。よか……」



『良かった。』そう口に出そうとして驚いた。



なんだよ……¨良かった¨って。



もやもやと、遂には自分の考えまでわからない事態に陥った……かもしれない。



「ふんっ、本当に捕まれば良いんですよ。」



どうやら俺は、この変態と同じ空気を吸いすぎたらしい。
嬉々として裸を晒す男へ言い放つと、これ以上毒されぬよう、全力で走り出した。



END



12.0402
・(1日遅れの)エイプリルフール
解せない話CP
 
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