▼ 露出狂×被害者


その日は偶々、居残りして学校の帰りが遅くなった。
だからと言って、特別急いで帰る必要もない。
それなのに、普段とは違う、人気の無い大きな公園を、近道として利用したのがいけなかった。

薄暗い街灯の下、背の高い男が1人、ボンヤリと立っている。



こんな時間、こんな所で何を?



薄いロングコートを来て、膝下から全て肌色……先の尖ったお洒落な靴を履いている。
一瞬、違和感を感じたが、つい先日に見た雑誌を思い出す。
その中で、ロングコートに短パンを組み合わせたファッションが紹介されていた。
暗くて顔こそ見えないが、髪型や雰囲気から、20代そこそこのお洒落男子と予測できるし……まあ、そう言う事だろう。
別段気にする事も無く、前を通り過ぎようとした時、男はおもむろにコートの前を広げると、行く手を阻んで来た。
まじまじ見ずともわかる。



…………こいつ、露出狂だ。



コートの下は一切、服を身に付けていない。
無駄にお洒落な靴が滑稽だった。



「ふは、ふははは……驚いて声も出ないかな?そうだよね……それが普通だよね?それとも、同じ男として、見とれてしまった?……下の……アレ、に。」

「…………は?」



俺が男を、内心滑稽だと思っていると、何を勘違いしたのか、この露出男は己の一物を前に突き出して来た。
確かに視線は下にあった、けど、それは足元を見て笑っていたから……何とも腹の立つ勘違い。



「あの、勘違いしてるみたいなんで言いますけど、俺はアナタの裸に靴って格好を笑っていただけで、そこにぶら下がっている物に興味はありません。」

「…………っな、何だって!?」

「何だって!?じゃ、ありませんよ。同じ男の物に、興味ある訳無いでしょ。だいたい、アナタは何がしたいんですが?ソレを他人に見せつけて、『わぁ、大きい』とでも言われたいんですか?それとも、『はっ、短小』って笑われたいんですか?もし後者なら心配要りません。アナタと寝る人、全員がそう言ってくれます。ですから、早くお帰り下さい。面倒です。」

「っそれって、僕のが短小だと言いたいのかい!?」

「…………ああ、前者希望でした?それなら、ホラ。でかいでかい。わぁびっくり。本当でかくて、見てると悲しくなるから…………カエレ。」



そう言うと俺は、男を蹴り飛ばし、道をあけさせた。
去り際、横目に男を見やる……悔しそうに唇を噛み、手は力強く握られている。
しかし、男の一物は先程より成長し、元気に上を向いていた。



表情だけ見れば、とても屈辱そうなのに…………



変態の考える事はわからない。
俺はこれ以上関わるまいと、帰路を急いだのだった。



END



11.0820
 
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