▼ 人気者×平凡
俺の1日は奴のお気軽な告白によって終わりを迎える。
「岡田、今日も変わらず愛してる。」
「そりゃどうも。」
「では、付き合って下さい!」
「無理。」
「ふむ……じゃぁ、今日も諦めますか。また明日ね!岡田!」
「おう、じゃあな。」
今日も1日平和だった。
帰りのHRが終わり、荷物を纏めている頃に高野祐也は俺の目の前に現れる。
そして、先程のようにお気軽な告白をして去って行くのだ。
初めて告白をされた時は驚いたが、交際を断ればあっさりと身を引くし、奴にとっては遊びのようなものなのだろう。と理解した今は、帰りの挨拶程度にしか思っていない。
周りの連中もそうだ。
高野は容姿がとても良いし、人懐っこい性格から男女問わず人気がある。
そんな奴が、容姿も中身も平凡な……しかも男に告白したのだ。
最初こそ悲鳴のようなものまで聞こえて来たが、今じゃ微笑ましいというように、俺達の遣り取りを見守っている。
しかし、高野も不思議な奴だ。
2年に進級して、初めて同じクラスになった男相手に、あんな遊びを仕掛けてくるとは……なかなかに勇者だ。
ああ、でも逆に話した事のない奴に言った方が冗談で済むから良いのか。
そんなどうでも良い事を考えながら、明日も1日平和で過ごせますようにと夕焼け空に祈ってみる。
その数日後にまさか高野に押し倒され、今までの告白は全部本気だったと思い知らされるとか、爆発した原因が俺の友人が俺を好きで告白したと思い焦ったからとか、真剣な顔した高野にトキめいた俺が徐々に絆されていくとか考えもしなかった。
END
11.0218
11.0403(修正・加筆)