脳味噌がぐるぐるしている、もしかしたら眼球が痙攣しているのかもしれな、い、不明瞭な視界がたたらを踏んではいたけれど素面である以前に未成年であって(とはいってもそんなモノはただのイイワケに過ぎない茶番も良いところですねェ、そうかもしれませんね)そんな訳だからこのままどぷんと鈍い飛沫をあげて生温い水に沈んでしまえば目が醒める、かも、しれなかった?
(ぞろ、り)と浴槽の底に蔓延る水垢が指先を掠めては脊髄の内を駆け上がる、不快な筈のそれがえもいわれぬ感覚にすり換わる一瞬を楽しんでいるのか、それとも。馬鹿げた行為。ウマい話には罠があるのだと他人を笑う癖にヒトは甘い蜜を啜りたがる、ローリスク・ハイリターン、そうして真っ逆さま。(げらげらげらげら)
小さな窓の向こうには荒廃だけが広がっている、喧騒と喧騒と喧騒の複合体に脳の隅まで侵されて鼓膜は自然と汚いコトバを拾わなくなった、狭くて優しい白の檻、誰も入れない特製のシェルター。蛹のようだ、とも言うかもしれない。モルタルとタイルとの壁を一枚隔てた先のぐずぐずと音を立てる卑猥で残虐な行為など羽化を待つ幼虫にはどうでも良いことだった。血飛沫/臓物/断末魔、スプラッタ映画は好きかって? 恥ずかしいなァ実は内臓フェチなんだ。

KNOCK,KNOCK、ノックの音がした、聞こえないよ、そりゃ耳を塞ぐからだ、そもそもドアなんてないじゃないか、……君は一体何を言っているんだい?、え。(そんなの嘘でホントは右を向けばすぐそこにドアはあってだけどその向こうの光景なんて見えない見えない見えないフリ、血飛沫/臓物/断末魔、スプラッタ映画は好きかって? 非・現実だから笑って見れる世界がどんなものかくらい分かってるだろ?)KNOCK!KNOCK!!KNOCK!!!

あ、とかう、とかそういった単語が口から湯船に溢れてじわりと赤く滲む、なんだってこの水はこんなにもざらざらとねばついて……ねェ? 最初は空っぽの筈だったんだこの浴槽、そもそも寝る為に来ていた筈だったんだこの浴槽、ヨクソウ。毛布はどこ。ねェ、え。鏡を見れば千切れた私の首を針と糸とが「ぶすり/ぎゅう」白い肌を黒い線がちくちくちくちくちくちくちくちくちくちくちくちくァああァぁぁあアア亜アア!!!!!



今日はどこまでが妄想だろう。
ノックの音はまだ、



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