きっかけは、私が車にぶつかりそうになったことだった気がする。「危ねェな」車にではなく、私にそう言ったルッチ。それ以降、帰り道は必ず手を繋ぐようになった。
どちらから、とでもなく自然に手を繋ぐ。でもどっちかと言えばルッチからな気がする。なんでもルッチ曰くわたしは「ぼーっとしすぎ」だそうだ。そんなことないと思うけどな。

「考え方の違いだと思うんだけど」
「…何が」
「ルッチがわたしをぼーっとしてるって言うでしょ。それ。ぼーっとしてるんじゃなくって、ほかの違う事考えてるからそうなるの」
「…それをぼーっとしてるって言うんだ」
「違う!だから…その、同時になにか複数の事をするのが苦手なの!」
「……」

墓穴を掘ってる。ああなんて言えば通じるのか。

「例えば」
「え?えっと…そう!わたしルッチのこと考えてるの!だからぼーっとしちゃうの!」
「……」

手の温度がなくなる。「バカヤロウ、」ついでにルッチのスピードが上がって置いて行かれてた。

「…もしかしてルッチ照れてる?」
「照れてない」
「うっそだー!」

ちょうど分かれ道になった。いつもならじゃあな、とか一言あるのに、今日は何も言わずにすたすたと帰ってしまった。ふふん、ルッチに勝った!



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