「ジャブラ、」

あまりにも小さく、それでいてどこか期待も込められているような、そんな声が溢れた。だってそんな、彼は強く、優しく、みんなのいい兄貴分だったはずなのだ。いつからの恋心は悟られないように心にしまっておいたはずなのに。

彼の逞しい腕が、身体が、私をとじこめてしまった。目の前にある彼の真剣な瞳は、背中に感じるふかふかの芝生にとても似合わなかった。

ふ、と彼が口許を緩めて、彼の手が私の頬を撫でた。がさつで大きくて男らしい手だけれど、どこか優しいんだよなぁ。私もつられて表情を緩めてしまった。

が、途端、彼と私の距離が詰まってしまった。私の胸元に、彼が埋もれてしまったのだ。次いで聞こえた声は、「ぐう、」

「…ジャブラ?」

…返事がない。ただの寝不足のようだ。


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