誰にだって、なんだか急に寂しくなったり、泣きたくなったりするような夜もあると思うの。弱った時ぐらい誰かに甘えたっていいじゃない。

そんなわけで私は絶賛風邪をひいております。自己管理も仕事の内だとか説教してくる鳩男は無視するに限る。というか話を聞く体力がないのだ。全身重くて関節が痛い。動悸も激しい。誰だ「動悸がドッキドキ」とか言った奴。フクロウ見えてるから。隠れたつもりだろうけどばればれだから。

「ううう、ジャブラ、つらい」
「おれに電伝虫かけてこられる元気はあったんだな」

だって声が聞きたかったんだもん。喉元で詰まっている言葉を無理やり飲み込んだ。ジャブラは今北の海で長期任務に就いている。会いに来てよ、と軽く口に出来る距離ではなかった。

「とにかくあったかくして、薬飲んで寝てろ。何かあったら給仕でも呼びゃあいい」
「うん」
「あと部屋にはカリファ以外入れるなよ」
「…なんで?」
「……何されるか分からねェからな」

鼻が痛くなった。じわりじわりと目が熱くなる。

「ジャブラ、」
「…ん?」
「寂しいの。ぎゅってして。キスして。そしたら私すぐ治るから」
「…………ばか言ってんじゃねェ」

今日ほど夜が寂しいと思ったことはない。「会いたくなるだろうが」と、その言葉と共に涙がぽつりと落ちた。



150519
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