今日も今日とて上手いこと執務室を脱走して、車を飛ばして少し遠いお気に入りのカフェテリアへ。
自分の車は出せないから勿論ザンザスを呼び出して攫ってもらった。これでお説教は2人。まぁザンザスがいると時間も倍になるんだけど。

「あーやっとご飯だぁ」

自分で色々チョイスして、気付いたら二人掛けのテーブルは俺の皿でいっぱいになっていた。向かいに座るザンザスの物はコーヒーだけで。だって仕方がない、俺今日は朝から何にも食べてないんだ。

「いただきまーす」

ズズ、とカップを傾けるザンザスは放置して俺は両手を合わせた。
来たばかりの頃は日本食が恋しくて我が儘も言ったけど、慣れてくればイタリア料理も凄く美味しいしお気に入りの店も増えた。ディーノさんやヴァリアーの皆に聞くと驚くほど高い店ばっかり紹介するもんだから最初はなかなか苦労したけど、獄寺くんや山本・ハルはいつの間にかリーズナブルなお店もどんどんチェックしてて凄く助かったのを覚えてる。このお店もハルから教えてもらった一軒で、初めて来たときに一発で俺のお気に入りになった。
勿論、そんなにちょくちょくは来れないけど。

「そういえば、ザンザスお見合いさせられそうになったんだって?」
「…どこから聞いた」
「スクアーロ。」

ギロリと強い眼光がこちらを睨んだ。

「どうなったの」
「バッくれてやった」
「ちょ、それはさすがに九代目可哀想じゃない?」
「知ったことか」

サンドイッチをオレンジジュースで飲み込んで、次はさて何を食べようかな。
俺はフォークを掴んでスクランブルエッグに突っ込んだ。

「まぁでもアレだよ、お前と結婚させられる女の人が可哀想だよね」
「どういう意味だ、カス」
「そのままですよ」

相変わらず美味しいなぁここの卵。チーズが入ってるんだよね。ふわっふわですんごい美味しい。
よし、次はパスタだなートマト味のこれ、フレッシュトマト使っててほんと絶品なんだよ。

「でもなー、俺もそろそろ言われそう」
「テメェと結婚する奴も大概可哀想だな」

逆さ近くまでカップを傾けたザンザスが店員を呼んでお代わりを注文する。それから左腕の腕時計をチラリと見た。そういえば少しだけ日が傾いてきたようだ。俺これもしかして今日一食フラグ?

「じゃあさ、結婚しろって言われたらお前とするって言うわ」

ザンザスの釣り上がった眉が思いっきりしかめられて眉間にこれでもかと皺が寄る。

「じゃあ指輪でも用意してやるか」
「ちょ、」

あんなに嫌な顔してきたくせに乗ってくるのかよ。予想外過ぎて自分が振っておいて突っ込んじゃったよ。

「わーザンザスの給料三カ月分はすんごいのきそうだなー」
「お前の采配次第だな」
「よし、やっすいのでいいから給料は下げていいですかね」
「ふざけんなドカスが」

2人で顔を見合わせて笑う。
サラダとデザートを平らげて俺はまた両手を合わせた。

「ごちそーさまでした!」

さて、このまま帰るか、もうちょっと逃亡を楽しむか。向かいのザンザスに視線を向けると、ザンザスは小さくため息をついて口元だけに笑みを浮かべて。

「さて、お次は何処へ?マイハニー」
「どこへでも、マイダーリン」

【くろは】
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