泣いてしまえばいい。
縋って縋って、もう嫌だと泣いて叫べばいい。
そうして、もう捨ててしまえばいいのに。
「敵だって、味方だって人間だよ。」
銃を向けた先に立ちはだかって、バカみたいに言うお前のなんと愚かしいことか。
幼いその顔に睨まれてもちっとも恐くなどない。
実力行使に出られたって負ける気などしないのに。
「お前だって、この男だって、同じ人間だ。」
「だからどうした。」
自分の部下を殺した男に背を向けて、俺に挑んでくるその眼。
「撃つなら俺が受ける。」
「へぇ?面白いじゃねぇか。」
笑って、引き金に掛かる指に力を込める。
「死んでから後悔するなよ?」
「後悔なんか、しない。」
一瞬の隙をついて、俺は引き金を引いた。
銃弾は男に当たってめり込む。血は噴出さずに地面をゆっくりと這った。
「俺がお前の言うことを聞くと思ったのか?」
下を向いた綱吉の拳がギリギリと音を立てた。
「俺にはお前以上に大切なものなど無い。」
「俺は、お前の心が分からないよ、ザンザス。」
「分かってもらおうとも思わねぇよ」
【くろは】
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