愛されていると感じている。
綱吉は目の前にいるXANXUSの顔を見ながら思った。
愛されていると感じているけども。
それを行動で示してくれないと物足りないのも事実であるわけでして。
綱吉は仕事をしているXANXUSの顔を見ながら置かれているオレンジジュースを一口飲んだ。
XANXUSが口にも行動にも出さないことは分かっている。
だからちょっとしたことで愛情を読み取ることしかできない。
例えば表情だったり、仕種だったり、それぐらいだ。
だから抱きしめるのもキスをするのも綱吉からねだる。
もちろん、それが不器用なXANXUSなりの愛情だということも分かっている。
分かっているけれど、綱吉は聖人でもなければ他人の考えがわかる超能力者でもない普通の人間なので、やはり寂しくなったり不安になってしまう。
ストローに息を入れでオレンジジュースをブクブクさせて遊ぶ。
それから大袈裟にため息をつくとXANXUSが書類から目をあげた。
「どうした?」
そうそう、こういうところ。
こういうときに愛されているなって感じるけれど、やはり形がほしい。
「XANXUS、俺のこと好き?」
「あぁ」
「なら形にしてみてよ」
綱吉がそう言うとXANXUSは黙り込んでしまった。
ちょっと無茶苦茶かも。
綱吉は少し不安を抱いたが言ったことは取り消せない。
綱吉をXANXUSが口を開くのを待った。
「形って、どんなものでもいいのか?」
「え、うん…!」
「なら、」
XANXUSは立ち上がり、綱吉を抱きしめた。
そして顔中に軽いキスをする。
普段綱吉からアプローチしているしているので、これには驚きで、綱吉は真っ赤にしてXANXUSのキスを受け入れるしかなかった。
それからキスを受け入れて数分たった。
「ほら、形にした」
そう言ってXANXUSはニヤリと笑った。
「あんまり無理させると悪いかと思ってたが、これならもう我慢しなくていいな」
真っ赤なまま、綱吉は緩く頷いた。
XANXUSからしてくれるなら、むしろ嬉しい。
XANXUSは少し驚いたらしく、軽く目を見開いたが、それから優しく笑った。
「XANXUS、すきだよ」
「俺もだ」
【三谷希】
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