眠い目を擦りながらベッドから抜け出して、頭をすっきりさせるためにシャワーを浴びる。シャワーを浴びながら歯磨きも終わらせてシャワールームを後にして、着替えを取りにベッドルームに戻ってくるとベッドにはまだ膨らみがあった。

「ザンザスー、シャワー空いたから入ってきなよ。遅刻するよー」

唯一出ていた頭まで潜って俺の言葉を無視するザンザスに俺は、仕方ないなぁとベッドに腰掛けて頭があるであろう場所をバフバフと叩いてやった。

「痛ェ」
「痛くしてんの」

もぞもぞと這い上がってきて顔だけ出して、子供みたいに駄々をこねるその様は子どものようだけど、ベッドの中にいるのは泣く子も黙る大ボンゴレの独立暗殺部隊ヴァリアーボスにして最強の男、ザンザスである。何度も言うようだが、この子どもの様に駄々をこねているのが暗殺部隊のボスである。

「ほら起きなよ!俺もう朝ごはん食べるよ」

もう一度今度は肩の辺りを叩いて、俺はベッドルームを出た。

俺が噛みついたコルネットをカフェラテで流しこんでいると、やっとシャワーを浴びたザンザスが上半身裸で肩にタオルを掛けてやってきた。そのタオルで髪をガシガシと拭きながらやってきてドカリと俺の向かいの席に腰を下ろす。

「ザンザスはどうする?」
「コーヒー、砂糖2個」
「オッケー、いつも通りね」

コーヒーメーカーからカップに注ぎ、朝のお決まりに砂糖を2つ落としスプーンでかき混ぜる。それをザンザスの前に置いてやれば、俺はまた自分の椅子に戻って大きめに一口コルネットに齧りついた。
伸びてしまった前髪を煩わしそうにしながらコーヒーを啜る目の前の男を眺める。いつもオールバックにしてまとめられている髪が無防備に下ろされているのをこうやってまじまじと見るのは久しぶりな気がする。勿論ベッドの中ではいつもそうなのだが、こう明るい場所で見るとなんだか、

「格好良いかも」
「あ?」
「髪、たまには下ろしたら?」
「あー、伸びてきたな…煩わしくて敵わねぇ」
「いつものもいいけど、たまにはいいじゃん。下ろしてるのもカッコイイよ」
「…気色悪ぃこと言うな」

たまに褒めるとこうだから嫌だよ、ほんと。
ちょっとムカついて、2人で出る時に綺麗にセットされてる髪をぐちゃぐちゃにしてやった。

「おいこらテメェ!!」
「いいじゃんその方が格好いいってば!」
「ったく…」

お返しにと俺の頭もぐしゃぐしゃにされたけど、最近頭撫でられることなんかめったになかったから嬉しくて思わず微笑んだら、ザンザスにうんざりした顔をされてしまった。


【くろは】
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