小説 | ナノ

Dear山野バン君



麗しのバンさんへ
たまにはお手紙を書いてみましたよ!毎日メールを送っていますが、たまには書いた文字というのも粋ですよね!
バンさん、最近元気ないみたいですけど、どうかしたんですか?カズさんやアミさんのキタジマに行こうという誘いも、いつも断ってるし、ただ忙しいだけには見えないです。
もしかして、ジンさんがいないからですか?
きっとそうなんでしょうね。こんなとき、僕がもっと大人で、かっこ良くて、筋肉むきむきで、包容力があったら、バンさんを慰めてあげることができるのに。
僕はバンさんが心配です。悩んでることがあったらなんでも話して欲しいです。バンさんの力になりたいんです。
僕はあわよくばジンさんからバンさんを奪っちゃう気でいます。けれど、それはジンさんとちゃんと勝負して、勝ってからそうすると決めています。だから、アナタとジンさんを無理に引き離すような、そんな野蛮なことは絶対しません。今度また、2人でゆっくりお話する時間がつくれませんか?
結局、恋文になってしまいましたね。これでは約束を破ったとジンさんに怒られてしまいます。これ以上変なことを口走らないうちに失礼します。
それではバンさん、愛してますよ!
あ、言っちゃった!
アナタのヒロより


To:バン(を含む他数名へ一斉送信)
Title:無題[添付ファイル
在り]
これってジンとジェシカだろ?
…浮気?
From:アスカ


To:バン君
Title:無題
お返事遅れてごめんね。
僕も写真みたよ。
…確かに僕も少し疑った。けれど、あのジン君に浮気はないと思うんだ。きっと何か誤解があるはずさ。
…ていうか、僕は正直こっちの方が衝撃を受けたんだけど、ジン君からまだ一回も連絡が来てないって本当に?
ジン君はああ見えてシャイなところがあるから、もしかしたら、とは思っていたけど、…ここまでとは…。
大丈夫だよ。バン君。お手紙は絶対来るよ。ジン君はバン君が本当に大切で大事にしたいだけなんだと思うんだ。
元気出してね。
それにしても、君もお節介だなぁ。僕とラン君の関係はそんなに面白いかい?お願いだから僕らのことは放っといてくれないか!変なところでジン君とシンクロしてるなぁ…。
それじゃあね。
追伸。
ラン君って魚は好きだと思う?博物館も美術館も駄目だったから水族館はどうかなって思っているんだ。
匆々頓首
From:ユウヤ


To:バン
Title:無題
よぉ!バン!今日キタジマにいったらさ、この間お前が言ってた新製品入荷しててさ、俺はもう手にいれたよ!
ああ、あのジンとジェシカの写真のことか?
ジンのことはさ、あんま気にすんな!だってジンだぜ?浮気なんてあるかよ!浮気だってんなら俺がジンをぶん殴ってやるよ!
ていうか、お前はどうなの?最近付き合いわるいけど、まさか別の男がいるんじゃないよな?
いや、冗談だって!
From:カズ


To:バン
Title:Hello!
Hi!バン!元気にしてる?こうやってメールするのも久しぶりね!そっちの皆も元気にしてる?
あのねバン、ジンと私が一緒に写ってる写真、見たと思うんだけどね、違うのよ?そういうのじゃないの。誤解はしないでね?
ジンはいつも通り、毎日「バン君バン君」言ってるわ。この間なんか「バン君が仙道と密会している!」って騒いで、顔を真っ青にさせてあわてふためいていたけど、それは本当?あなたのことだから相手がしつこく言い寄れば「僕の顔を食べなよ!」の感覚で体まで差し出してしまいそうで怖いわ。まさかもう仙道と寝たりなんてことはしてないわよね…?
とにかく、あなたもジンのことを考えて行動してよ!本当に危なっかしいんだから!
それじゃ返事まってるわ!
Bye!
From:ジェシカ


To:バン
Title:やっほー
やっほー!バン!返信遅れてごめんなさい!夕飯食べてたんだ!今日はサバの味噌煮だよ!
ていうか何回も言うけど私とユウヤはそんなんじゃないんだってば!なんで?ジンもバンもなんでそんなに私とユウヤのこと気にするの?確かに一緒に出掛けたりするけどデートとは違うんだから!この間、ジンとジェシカが一緒に歩いてたのとおんなじようなことなの!
そういえば、バン、最近元気ないよね。やっぱジンがいないと元気出ないの?
ていうか、聞いた話だけど、最近バンが仙道と密会してるって本当?それはよくないよ!ジンが可哀想でしょ!?ジンは何もバンが憎くて会えないんじゃないんだしさ、バンが待っててあげなきゃ、ジンはどうにかなっちゃうよ!
ま、寂しい気持ちはわかるけどさ。とにかく、今後仙道と2人っきりであうのは禁止!
あとたまには私も一緒にアキハバラ連れていってよ!ユウヤったら博物館とか美術館ばっかに連れて行くから退屈でたまんない。たまには映画館とか遊園地に誘ってくれればいいのに。
それじゃあね!
P.S.魚は好きだよ!あのね、サンマが好きなんだ!塩焼きにすると美味しいよね!
From:ラン


バンへ
突然手紙を送ってごめんなさいね。私、バンに謝らないといけないことがあるの。けれど理由は言えそうにないわ。ごめんね。
ジンから連絡、まだ来てないでしょう?ジンなら、すぐにバンに確認すると思ってたんだけど、彼はとんだシャイボーイね。
ジンは今、あなたが浮気してるんじゃないかって思ってるのよ。毎日アキハバラへ仙道に会いに行ってあれやこれやしているんじゃないかって思っちゃってるの。だからあなたは、アキハバラに通うのは仙道に会うためじゃなくてLBX開発について学ぶためだって、ちゃんと弁解しなくちゃないのよ。ジンの住所は記しておいたからね。今すぐにお手紙を書くのよ?いい?
本当は、私、ジンが今すぐにでもバンに手紙を書くように仕向けたつもりだったの。けれど失敗してしまって、余計ややこしいことにしてしまった。あなたとジンの関係が崩れてしまったら、それはきっと私のせいだわ。
本当にごめんなさい。
ジンとあなたが和解できることを心から祈ります。
アミより


Dear山野バン君
やぁ、バン君。お手紙ありがとう。今日まで一度も連絡が取れずにすまない。恥ずかしい話だが、君に手紙を書くとなると、何を書いたらいいんだかわからなくなってしまってね、結局君から先に手紙をもらってしまった。心配させてしまったね。すまない。
まず、僕は君に弁解しなければいけない。一体何処のどいつが流したのかわからないが、僕がジェシカに浮気してるというのは真っ赤な嘘だ。確かに僕はジェシカと2人で街を歩いたよ。それは認める。しかし、それは僕が街にいたところ偶然ジェシカと出会して、そのまま買い物に付き添ってもらっただけだ。本当だ。信じてほしい。神に誓ってもいい。
…神は君だったな。誓うよバン君。一生君を愛すると。
そしてバン君。君が毎日アキハバラで仙道に会っていると窺った。けれどそれは君がLBX開発に携わりたいがためにユジンさんに会いに行っていただけだったんだね。
僕は君を信じている。僕は最初から君が浮気するわけないって信じていたよ。僕はちゃんと君を理解している。君のことは誰よりもわかってるつもりだ。だから平気だった。まさか昔のように嫉妬に狂ってゼノンを暴走させるようなことはしてない。そして君に自分の我が儘を押し付けるほど、もうそんなに子供ではない。君にだって事情があるし、僕はそれを一番に理解する存在である。だから何も問題ない。何にも。だから平気だ。本当に。


……嘘だ。平気なものか。
今回も同様に頭が狂ってしまうかと思った。バン君、お願いだから僕以外の人間と二人っきりで会うのは避けてくれないか?
…しかし本当は、僕は仙道に感謝しなければならないな。だって君、不良に絡まれたって、それは大問題だぞ!もしそこに偶然仙道がいなかったらと思うと本当に恐ろしい!バン君、今回はLBXで解決できたからいいが、次もそうだと思ってはいけない。勿論君は強いから、そこらの不良ごときではLBXバトルで君に敵わないだろう。しかし彼らは何をしてくるかわからない。必ずしもLBXを使ってくるとは限らん。とにかく、一人で危険な場所には近づかないこと。最低限ヒロとランを連れていけ。
君が仙道やヒロと関係を作っていて、僕が何も思わないはずがないだろう。君は、自分のことは棚に上げておいて何を!、と思うかもしれないが、それでもだ。僕も君に会いたいよ。
君を抱き締めたい。
また返事をくれると嬉しい。
愛しているよ。
Love.
Jin



追伸
近々そちらに帰るよ。いつ帰るかはまだ言えないのだが、この手紙を読み終わるあたりに君の家チャイムが鳴らなかったかい?
一応、あんまり驚かせるのは悪いから先に言っておくが、すまない。飛行機のチケットがこれしか取れなかったんだ。

…なんてね。

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