sweetpanic!

「大丈夫だってちょっとぐらい!」
「やだ、ってかムリ。」
「えー」


目の前で繰り広げられているのは嫌がらせだろうか。

俺たちがいるのは最近よく来るカフェで。
目の前のテーブルに並べられているのは、数種類のケーキ。
それを、和成はあろうことか冬哉の目の前に並べていた。
後で和成は半殺しにされるだろうな、と考えながらそれを見つめていた。


「一つだけでいいからさー…な?」
「……」
「冬哉が食べてくんないと、割引が効かないよ。」
「じゃあ連れてくんなよ。」


ごもっとも。
嫌がる冬哉を無理やり連れて、四人で入ったカフェではスイーツキャンペーンがやっていた。
和成とレンは元々このスイーツキャンペーンが目的だった。
しかし、このキャンペーンは四人以上でお一人様必ずお一つは食べなければならないというもの。
一口食べてしまえばそれで終わりなのだが、相手は冬哉。
そうもいかないのだ。


「冬哉、抹茶のやつでもいいから、一口食べたらあとは俺が食べるよ?」
「えー!!全部食べようよー。」
「レン、あんまり冬哉をいじめんな。」


そう、和成は純粋に割引のために一口でもいいから食べてほしいのだろう。
だが、レンは段々といじめに走っているのがわかった。

その時だった。
冬哉は和成が勧めた抹茶のケーキを一口だけ食べたのだった。
和成は一瞬驚きを示したが、サンキュー!と言って残りを平らげた。
冬哉は、口にしたときから顔色が悪くなっていた。
抹茶と言えども相当甘かったらしい。


「冬哉ー、我儘に付き合わせちゃってごめんなー」
「ケーキ美味しかっ!!サンキュー!」


その後、会計を済ませ店を出た俺たちは帰路についた。

冬哉と帰り道を歩くのはいつものことだが、今日は無言だった。


「冬哉、すまなかったな。」
「何で、名前があやまんだよ。」
「いや…、うちでご飯食ってくか?」
「!!良いのか!!行く!!」


さっきより元気になった冬哉は、早く行こうぜというように腕を掴み走り出した。



sweetpanic!

(もしかしたら、冬哉が甘いものが苦手なのは綾女姉さんのせいかもしれない。)












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