仮間輝×阿部真人




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「ぶえっっくしょぉぉぉい!」

大きなくしゃみをして、チーン!と鼻をかむ。ゴミ箱には大量のティッシュ。ピピッと体温計の小さな音が聞こえて確認をする。

「あーらら…」

電子体温計に表示された数字は37.8℃。痛む節々、夏なのにガタガタと震えるからだ。これは完璧に風邪を引いた。

『知ってっか?夏風邪は馬鹿が引く風邪なんだってよ』
「病人に対しての第一声がそれってどういうことなの」

朝、 真人に今日は休む旨をメールで伝えたらすぐに電話で返信が来た。気だるい体と戦いながら出たら第一声があまりにも優しくなかった。

『どーせひっかの事だ、夜中までゲームして、扇風機に当たって体冷やして風邪引いたたんだろ』
「うっ…」

確かに昨夜は隣のクラスの多村と遅くまでオンラインゲームをしていた。それに、ここ最近は暑苦しくて、扇風機をかけたまま腹を出して寝ていたことが多かった。
…うん、こりゃ風邪引いても何も言い返せないな。

『ったく、お前そんなんで今週末映画見に行けるのかよ』
「映画は行くぅぅ…だって真咲とのデートだもぉぉん…絶対行くぅぅ」
『お前なぁ…』

ハァ…と大きなため息が聞こえてきた。まったく病人に優しくない。ま、病気になった自分がなによりも悪いんだが。
でも、今週末はどうしても行きたかった。本当にひさしぶりで、遊ぶことはあってもデートは無かった。誰かと一緒にいてバカ騒ぎするのは楽しいけど、いちゃいちゃ出来ないし、二人きりは楽しいと、幸せがいっぺんにくる。だからデートは意地でも行く。

「真人とデートするために、今日はお休みします」
『だったら風邪引くなバァカ』
「仰っしゃる通りでゴザイマス…」

返す言葉がない。誰がどう見ても、自分が見たって自己管理能力が劣っていたからしか言いようがない。当分、ゲームは控えようやっぱりゲームは1日四時間が限界だな。

『たっく… 』
「ごめんてぇぇ…」

また鼻水が出てきそうだ。ティッシュを探そうとしたとき、小さな声が聞こえた。

『…早く元気になれ馬鹿』

プツッ!と聞き返すまもなく電話が切られた。
めっちゃ久しぶりの真人のデレ。勢いよく切ったのは照れ隠し、それくらい分かるよ、きっと今は物凄く可愛い顔して照れてるんでしょ?

「あー…可愛い」

さっさと薬飲んで寝よう。
そして明日学校に行く前にキスをしよう。
真人がキスが好きって知ってるから、照れ屋でキレるの早いけど、ホントは知ってるんだよ?だから、今日だけごめんなさい。


俺って、愛されてる自覚していいですか?







(想いは、伝わりましたね)






-End-

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