春眠 | ナノ

召喚

最も魔力が高まる真夜中。
西の島国で、あるいは東の島国で英霊召喚の儀が始まった。
サーヴァントを手繰り寄せるための術式。


「降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」

「閉じよみたせ。閉じよみたせ。閉じよみたせ。閉じよみたせ。閉じよみたせ」

「繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する」

魔法陣にエーテルが暴風となって吹き荒れる。人知を超えた幻想の塊が現世へと降臨する予兆でもあった。
マスターとなるべき人間は確かな手応えを感じ更に詠唱の言霊を紡ぐ。


「汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」

「誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者」


「汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、」

「「「「天秤の守り手よ―――!」」」」

そして、奇跡の御使い、サーヴァントは地上に降臨する。
聖杯戦争、その第一夜の幕開けである。

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