混沌カーニバル
 

さぁさ、天使も犬もよってらっしゃい





「…というわけだ。大友の首と共に船を明け渡せ」

「どういうわけですっ!?ジョシーっ!!こいつらを追い払ったのではないのですかっ!?」

「ぐっ…三成たちの船を毛利が壊しちまって、帰せなくなったんだよ!」

『ああ、宗麟様…迷える者らにどうか御慈悲を。昨日の敵は今日の友と言います』

「ぐぐっ…ジュリアが言うなら仕方ありません。二人とも!特別に入信を認めてやりましょう!」

「・・・・・・」

「だーっ!!三成様落ち着いて!相手はガキっすよガキ!なぁ鬼さんも止めてくれよ!」

「…アンタらは自業自得だ」

「はっ、ざまあみよ」




今朝の俺はやっと国に帰れるという安堵と、ジュリアとの別れという苦悩でいっぱいだったはずだ

それがどうした。船は壊され、再び教団の城に戻るはめになり…おまけに新しい輩も増えている


石田三成と島左近。この二人も、新たな船が手配できるまでここで過ごすことになっちまったわけだが




「くっ…毛利ぃい…!大友の首の次は貴様だっ!!覚えておけっ!!」

「その理屈ならばまずは貴様の首であろう。我らの船を破壊したではないか」

「いやいやいやっ!!あれってば俺たちじゃなく、大砲真っ二つにした立花さんのせいじゃね?」

「大砲ぶっ放したのはアンタらだろ!それに立花が斬ってなきゃ、ジュリアまで危なかったんだ…!」

「ジュリア…そこの女か」

『はい!ジュリアと申します、よろしくお願いします石田様、島様っ』

「あ、俺のことは左近でいいぜっ!!俺もジュリアって呼んでいーい?」

「左近んんんっ!!!!」

「痛い痛い痛いっす三成様っ!!大事っ!!挨拶は大事っすからっ!!」

「…ジュリア、こっち来い」




豊臣の左腕。その側で刃を振るう犬がいると、俺も噂にはよく聞いていた

それがこの軟派な兄ちゃんってわけか。明らかにジュリアを気に入った様子だ、まぁ、仕方ねぇよな心中は察するぜ




「だがなぁ、俺の目の黒いうちはジュリアに指一本触れさせねぇからな…!」

「へへっ、余裕ないっすねー西海の鬼さん!ピリピリしてると女の子に嫌われちゃいますよっと」

「うるせぇっ!!」

「左近、信者共と馴れ合うな。大友宗麟!船を手配するまでの猶予はやる!秀吉様への命乞いも考えておけっ!!」

「………いいでしょう、立派な船を準備しますよ!」

「…大友の顔、何か企んでやがるな」

「石田の船よりも先に我の船を手配せぬか馬鹿め」

「さあ!それでは新しい客人を歓迎しましょう、ジュリアっ」

『はい!すぐ宴の準備をいたします、お二人を歓迎しますねっ』




そう言ってくるりと回り、二人に向けて両手を広げるジュリア

そのジュリアと石田を見比べた後、そのまま抱き付こうとする島の首根っこ掴んで引き止めた

いや、抱きついていいって意味じゃねぇよ馬鹿やろう




『新たな出逢い、そしてキャプテンとの切れぬ縁…ああ、やはり主のお導きあってこそ!』

「…主なんざいなくても、俺が連れ出してやるよ」

『え?』

「な、なんでもねぇ!」





カッコ良く連れ去るのは、また次の機会としよう


20160527.

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