母上はホトトギス?


キミとの毎日は華やか





『じゃーんっ!!見てくださいこれ!絶対、佐吉君に似合うと思うんです!』

「ヒッ…これはまた大量の着物をこさえたな。こちらは竹千代か?」

『さすがは刑部さんっ!!よく分かってらっしゃる、こっちが弁丸君でーこっちが梵天丸君でー』

「これが宗兵衛、こちらが姫若子、あれが松寿ならば…」

『これがっ!!』

「佐助か」

「着ないからなっ!!!」




ちびっこたちがお風呂に入っている頃、刑部さんを呼び出し広げたパジャマを自慢する!


濃姫さんと一緒に手作りしたこれは、子どもたちをそれぞれイメージした柄になっている

例えば佐吉君はキツネさん、竹千代君はタヌキさん。弁丸君がトラさんで梵天丸君はドラゴンさん、そして…




『なんで佐助君っ!!絶対に似合うよっ!!お猿さんパジャマっ!!』

「ばっ…かじゃないっ!?着るわけないだろっ!!むしろ俺がこれ着ると思ってたのっ!?」

『え、着ないのっ!!?』

「ほんと雪子さんって馬鹿だよねっ!!」

「ヒーッヒッヒッ!!!これ佐助、人の厚意を無碍にしてはならぬぞ。一度くらいは袖を通せ」

「自分が着る必要ないからって調子乗って…!」

『あ、もちろん刑部さんのもありますよ?』

「ヒッ…さ、さよか」




大人だって仲間外れにしませんよ!と拳を握ってみせれば刑部さんが固まった

それを見た佐助君はニヤニヤ。ざまぁみろってさ




「ちゃんと着るんだよね大谷の旦那?雪子さんの厚意だもんねー」

「………………」

『サイズはピッタリだと思います!えっと、刑部さんと小十郎君の分は…はいこれ!』

「ぶふっ、片倉の旦那にもあるんだ。どんな柄かなーって、あれ?」

「…雪子、三着あるように見えるが」

『あ、この小さいのは私のです!同じ柄ですよっ』

「ずるいっ!!!」

「ヒヒヒッ!!!いやそうきたか!仕方あるまい、佐助がそこまで言うならば着てやろうっ」

「着なくていいからっ!!俺のと交換っ!!大谷の旦那もお猿さん似合うと思うよ!」

『ええー…』




…刑部さんの年齢で、お猿さんは厳しいと思います

そう言ったら違う!そういうことじゃない!って佐助君はまた騒ぎ出すし、刑部さんはお腹を抱えて笑い出すし


でも結局、佐助君は着てくれるんだよね。そこはすごく良い子だと思います


















「竜だっ!!」

「タヌキだなっ!!」

「トラでござるーっ!!」

「………犬?」

「佐吉、ぬしのそれは狐だそうだ。ヒヒッ、やはり似合っておるな」

「…猿には負ける」

「…おう」

「さすけ、よく似合ってるな!」

「う゛ぅう…!」

「雪子どの…さすけが泣いている…」

『…ご、ごめんね、なんかごめんね、次は猫ちゃんにするから』

「そういうことじゃないのっ!!」






20160401.
あの子はお姫様


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