You Copy?



「…………予想を越えた人数だね」

『・・・・』



さっきと変わらずにこやかに笑うタケちゃん。彼の目の前に私と元就さん、政宗さんが座る。その後ろに…他の武将たちがぞろぞろと

ちなみに大谷さんだけは部屋でお留守番。さすがに浮かんでくるのはまずい。あと学生には見えない…片倉さんは他に誤魔化しようがなかったんだ



「は、半兵衛さまっ…!!?」

「さっきも言われたけど、僕は竹中半兵衛って名前じゃないよ。君たちの人違いだ」

「そんなっ…私が間違えるはずなどあ−…!!」

「すみませんね!こいつまだ酔いが覚めてないみたいで」



取り乱した三成を猿飛さんが止めてくれる。私たちは同じ大学の歴史サークルのメンバー。昨日はここで飲み会をし、終電を逃してお泊まり会…という設定だ

もう一度言うが、片倉さんの大学生設定はきつかった



「終電…仕方ないとは言え、男を泊めるなんてよろしくないよ、雪子」

『…すみません』

「ま、まぁ俺らも酔っちまってたわけ…です、から」

「雪子ど…いや、雪子さんには、お世話になり、ました」



元親と真田くんは口調に気をつけ必死にフォローしてくれている。小太郎くんは変わらず無言

騒ぎを拡大した元凶の政宗さんは…どこ吹く風ですましている。今日の夕飯、おかず抜きにしてやろうか



「自己紹介は必要はないよね。僕は君らと仲良くなるつもりないし」

「HA、ずいぶん嫌われたもんだな」

『政宗さんっ…!!』

「そりゃね、知らない間に可愛い妹分に…どこの馬の骨か解らない男が群がっているんだ」

「…………」

「…………」



タケちゃんと政宗さんの間にバチバチと火花が飛ぶ。もしかして竹中半兵衛さんと仲が悪かったのだろうか?

だからってタケちゃんに喧嘩売らなくても…



「…ところで、雪子の恋人はどの人かな?」

『…………へ?』

「おや?君らはまさか独り身の女性の家に泊まるほど非常識なのかい?同じ大学、同じサークルの中に恋人がいて彼を含めてのお泊まり会だと考えるのが普通だと思うけど。僕は変なことを言ったかな片倉くん」

「っ!!!?い、いや…違いない…」

『くっ…卑怯な、タケちゃん…!!』



彼はこの中で一番真面目そうな片倉さんをわざと選んだ。“非常識”だと言われ早口で追い詰められたら…彼が反論できるわけないじゃない

昔から彼は口が上手い…ほんと、厄介な人



「さっきの流れじゃ毛利くんは違うよね?政宗くんも違う」

「Ah?」

「君みたいに失礼な奴を雪子が好きになるはずないし、もしそうだとしても僕は認めないよ」

「テメェ…!!」

「政宗様っ抑えてくださいっ…」

『っ…………』



タケちゃんがジッとこっちを見てくる…どうしよう、どう誤魔化そう

適当に名前を言うか。けど誰と恋人のふりをする?そんなことを考えながらオロオロとするばかり。すると…






「っ…わ、私です…!!」

『っ…三成…!?』

「へぇ…三成くん、だね?」



真っ先に手をあげたのは…意外にも三成だった。驚く他の武将たちの間を抜け、政宗さんを押し退け私の横に座る

彼は何故か…悲しそうな顔をしていた




「…ご挨拶が遅れ、申し訳ありません」

「…君はなかなか礼儀正しいようだね。“はじめまして”三成くん」

「っ−…!!はじめ…まして…」

『…………』

「…雪子さ…んの兄上には、たいへんお世話になっていました」

「吉郎と知り合いなのか?」



タケちゃんが今日はじめて笑みを崩した。違う、兄さんじゃないよ

けど三成にとっては私の兄…豊臣秀吉は大切な人。そして恐らくタケちゃんも…



「“お二人”に私は返しきれなかった恩があります…私が不甲斐ないばかりに…!!」

「…知り合いっていうのは本当みたいだね。ふふっ見てたら分かる、三成くんは嘘が下手そうだ」

『そうなんだよ。三成って素直すぎるんだよね』

「っ………」

『でもタケちゃん、そこが三成のいいとこだよ』

「雪子さ…」

「そう…雪子が吉郎以外でそこまで言うなんてね」

『ここにいるみんな、いい人よ』



タケちゃんが心配してくれてたように、私は兄さんが死んでから沈みっぱなしだった

彼らが来てくれたおかげで立ち直れた、というのは本当…彼らはみんな、いい人だ





「…雪子さんは…私がお守りします」

『え…』

「いかなる時も、何人からも、必ずや…私がお守りします…!!」

「…………」

「っ………」

「…そう。頼りにしてるよ三成くん」

「っ!!!はいっ!!!」

「まだ交際を認めたわけじゃないけどね」

「も、もちろんです!」

「…あーあ、僕が雪子と結婚して彼の弟になるつもりだったのに。ライバルが多いな」

『まだ言うか…!!』

「言うよ。可愛い僕らの妹だから、ね」



そう言って笑うタケちゃん。立ち直れたのには貴方の存在もある…とは言ってあげない







「われは仲間外れか…」

『そんな悲しそうな顔しないでくださいよ、もう敵は帰りましたから』

「われも見たかった…三成がぬしを娶ると言うたそうな」

『言ってないっすよ』

「はて、では庭で独眼竜と三成が決闘しておるが何故だ?」

『また政宗さんが問題起こすぅぅぅぅぅっ!!!』

「ヒヒッ」





20120830
リクエストより
半兵衛にクリソツな兄の親友

タケちゃんの名前を急募^^
→決定:竹中 成治(タケナカシゲハル)


mae tugi

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