We Copy !!
「よう、雪子!」
「…………」
『いらっしゃい元親、小太郎く―…って、なにそれっ!?』
「あ?酒だよ酒、大勢で集まるなら飲むだろ?」
「…………(笑)」
仕事帰りでやって来た元親と小太郎くんは、その両手いっぱいにお酒を持っていた
元親はビールや日本酒、小太郎くんはワインや洋酒。ノンアルコールもあるぞと言われても、私は酔う自信があるんだけどな
「お前たちも来たか」
「よう、吉郎!お招き感謝するぜっ」
「…………(ペコッ)」
「ふん……雪子が誘っていなければ、俺はお前も招いてなかった」
「いいだろ、兄貴同士仲良くやろうじゃねぇか」
「だから何故お前が雪子の兄なのだっ!!」
『あ、あは、』
今世でも私の兄代理をしてくれてる元親。兄さんとも張り合うからそこは何とかしてほしいけどね
大きな二人が睨みあってる間に小太郎くんはそっと中に上がる。そして次に私に何か袋を渡してきた
『?』
「…………」
『あの、小太郎くん…これって何かな?』
「…………」
『もしかして松永さん?』
「…………(笑)」
中身を確かめれば、それはちょっとお高い和菓子屋のお饅頭だった
松永さんからのお土産か…気を遣って頂いて申し訳ない
『松永さんも来たらよかったのにね、この食事会』
「馬鹿言うな、松永なんか来ても俺は入れねぇぞ」
『あ、片倉さん。酷いですよ、昔の話はしない約束じゃなかったんですか?』
「あれは昔だ今だ関係なく危険なんだよ。おら、長曾我部!吉郎!いつまでやってんだ、次来る奴等の邪魔だろうがっ」
「だが小十郎…!」
「だがじゃねぇ!テメェは大人げねぇんだよ、さっさとしろっ」
「むっ…」
『……あは、』
思い出せば懐かしいような片倉さんと兄さんのやり取り。ざまぁみろと笑う元親の頭にも片倉さんの拳が落ちた
そんなことを玄関でやっていると、新たな気配と共に呼鈴が鳴る
ピンポーンッ
「Hey!待たせたな雪子!やっとゼミから解放されてな、寂しくなかっ―…」
「来たな伊達っ!!!」
「よう、お兄様!お招き感謝す―…うぉっ!!?」
「こんばんは、吉郎さん。本日はお招き頂きありがとうございます」
「うむ、よく来た元就」
「ぶふっ、よう、毛利……ぶはっ!」
「っ……長曾我部…!」
『・・・・・』
ドーンと真っ先に入ってきた政宗さんが蹴り飛ばされ、その後ろから元就さんも現れる
大学から直接来たであろう二人。相も変わらず猫被りな元就さんだけど…元親を見た瞬間、表情が凍りついた
「ヒッ……毛利の天敵は未だに長曾我部であるからなぁ」
『あ、大谷さん。元親、思いきり笑ってますね。元就さんの額に青筋が』
「まぁ仕方あるまい。いつまで良い子の仮面がもつか見物よな」
「ぶふっ、毛利クンもお呼ばれかぁ?まぁ酒の席だ、無礼講でいこうじゃねぇの」
「われ……自分は、明日も大学があるので…!ほどほどしか飲むつもりは、ありませ、んが…!」
「……ぶはっ!!!」
「〜〜っ!!!」
『…元親、さすがにいいかげんにしてあげようよ』
……さて、これであと残りはお寿司を取りに行った三成と家康くん
そして―…
「はいはーい、こんばんは皆さん方お揃いで!なんとかバイト終わらせて、部活帰りの旦那を拾ってきたよ」
「失礼いたすっ!!雪子殿!吉郎殿!本日はお日柄もよく絶好の食事会日和であり…」
「旦那、旦那、挨拶が長い」
『いらっしゃい佐助さん、真田くんっ』
ヤッホーと調子よく現れた佐助さんと、今日も元気に挨拶してくれる真田くん。うん、夜だからちょっと抑えようか
またまた兄さんの表情は厳しくなるけど、どこ吹く風でしれっとしてますね佐助さん
「む……石田殿と徳川殿が見えませぬな。お二人は某よりも早くに出たのでは?」
『あ、二人なら一緒にお寿司を取りに行ってくれたの』
「なんとっ!!?某もお手伝いしたかった…」
「まぁまぁ旦那、お使いくらい二人に任せたらいいだろ?せっかくだし」
「だな!あいつらが一緒に居るとこ見るとよ、ああ、二回目なんだって思えるぜ」
「ふん、そうでなければ意味がなかろう」
『元就さん、元就さん、素が出ちゃってますよ』
「っ!!!!」
「いったい何の話だ?二回目だとか…俺だけ知らない話か?」
「まぁ、ちょっとした約束だ。気にしないでくれBrother!」
「誰がブラザーだっ!!」
『あ―…』
そうしてるうちに外から騒がしい足音が、
「秀吉さまっ!!!雪子様っ!!!三成、ただ今戻りましたっ!!」
「あ、相変わらず速いな三成っ!!全力で走るなんて酷いぞっ」
「貴様の鈍足に合わせてやっただけありがたく思え」
「あれでかっ!!!?」
『ありがとう三成、家康くん。他の皆も揃ってるよ』
みんな、入って入って。二人が取りに行ってくれたお寿司や片倉さんと準備した料理、元親と小太郎くんが持ってきてくれたお酒
さぁさぁと背中を急かし、居間へと上がるみんな。それを見つめながら、兄さんが、笑った
「これほど賑やかなのは初めてだな」
『騒がしいの、嫌い?』
「……ははっ!いや、いいんじゃないか?」
『うん!私も好きだよ、みんなが揃うの』
そうだな、
兄さんから返事が返るのと、私たちを急かす声がするのは同時だった
20131205.
なかよしこよし
mae tugi