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『ま…松永さん、ここ、通るんですか…?』

「風魔と待ち合わせた所への近道だからね。それに、こんな所には毛利の追っ手も来ないだろう」

『そ、う、ですか…』

「ははっ…君には刺激が強すぎるかな?」

『…………』



松永さんの腕を掴み、夜の人混みではぐれないよう通り過ぎる人に気をつける


ここは―…花街。けど私が知ってるそれとは違い、言うならば遊郭が集まった場所だ

着飾った女性を隣にだらしなく顔を緩ませた男の人が行き交う。妖しく笑う店先の女性…手を伸ばす女性、そこを悠々と歩く松永さん




『…もっと早く、歩いてください…!』

「そう言わないでくれたまえ、これが私の速度だ」

『けど…』

「なに、気圧されず君も胸を張ればいい。君も其処らの遊女に引けを取らないよ、ホトトギス」

『う、嬉しくない上にそんなわけないじゃないですか!』

「声が大きいな」

『っ……うぅ、』




私の隣に居るのは松永さんだけど、この街の雰囲気がどうも居心地悪い

急かす私を横目に彼はニヤリと笑う…わざとだ、絶対にわざとだ!




「私は嫌いじゃないがね、このような場は」

『…花街とか似合いますもん松永さん』

「ほう、君が私の何処を見てそう言っているのかじっくり聞きたいが…通うわけではない」

『…………』

「ここは皆、己の欲に忠実だ。男も女も身分も欲の垣根にはならないよ」

『そうかもしれませんけど…』

「ここの者らは今の戦など興味はない。どちらが勝とうと、ここを奪わない限りはね」

『…………』




そう言って笑う松永さんもまた、戦の勝敗に興味はないのだろうか。しかし気まぐれであっても私を助けてくれている、そんな彼の心境はいったい…

見上げていた横顔がふと此方を向き、やっぱり彼はニヤリと笑った




「そう熱く見つめないでくれたまえ」

『な―…!そ、そういうのじゃないでしょう!』

「そうかな?寄り添って歩いているんだ。端から君は私に買われた女と見えるはずだよ」

『えぇっ!!?』

「おや、離れるなホトトギス。迷子になるじゃないか」

『いや、だからって、その、えっと…そういうのじゃなく…』

「ははっ、さっきと違い声が小さくなってしまったね」

『う゛…もう、いいですから、早く行きましょう…』



はぐれないようまた側に寄るが今度は彼の服の裾を小さく掴むだけ。松永さんにああ言われては、また腕など組めるはずもなく

私の様子を愉しげに見つめる松永さんもまた、ゆったりとした歩みを再開した




「君をからかっているわけじゃない。無垢なホトトギスがどんな反応をするか見たくてね」

『それを、からかうと、言うんです…!』

「純粋な興味だよ。からかうというのは…そうだな、」

『え……っ、きゃあっ!?』



私が掴んでいるのとは反対側の手。それに自分の手を重ねた松永さんはグッと、私の身体を引き寄せる

さっきよりも近くなった距離、ハッと顔を上げたら彼が間近に…




「こういうことを、言うと思うのだが?」

『ち、ちち近いです松永さん!人前です!公共の場です!』

「花街ならばむしろ遠い距離だよ」

『そういうことじゃ…な…くて、その…』

「…ふふ、はははっ!真っ赤だホトトギス」

『〜〜っ!!!!』



ああ、もう、……いいです


グッタリと諦めた私に、勝ったとほくそ笑む松永さん

調子には乗らないでくださいよ、だがしかし彼は抱き寄せる腕を放してくれない




「君は身の丈も小さいが…その手も、飾る爪も、どれも小さいな」

『な、なに言っちゃってるんですか!そ、そんなことサラリと、』

「見たままを伝えているだけだ。ははっ、ほら髪に隠れた耳も照れ隠ししかできない口も、ね」

『ぁ、う、そ、そんなの…』

「ん?」

『松永さんの…手が、ずっとずっと大きいからです』

「っ―……」

『わっ、』




瞬間、私の手を包んでいた松永さんの大きな手が弾けるように離れた

え、何ですか急に。ちょっと困ったように彼を見上げるが、松永さんも松永さんで眉間に深いシワをつくっている



『え…と…?』

「……不覚だ」

『はい?』

「……行こう、こういう男女の絡みの場はヘドが出る」

『あれ、さっきと言ってることが違うんですが松永さん』

「爆発してしまえばいい」

『え、ちょ、爆破は禁止です松永さん!指パッチンは断固反対です!』



近くの建物に向かって手をかざす松永さんを必死に止める!

ぎゃーっと腕に飛び付けば彼は動きを止めて固まってしまった、あれ?



『…松永さん?』

「……はぁ、やはり君は末恐ろしいよホトトギス」

『…す、すみません?』

「いや……そこが君のよいところでもある。私のホトトギスは何処に出しても恥ずかしくはない」

『は、はぁ…ありがとうございます』

「今は出す気もないのだが」




ほら、風魔が待ちくたびれているよ

そう言って急かす松永さんに、私は街を振り向かず駆け寄ることにした





20131221.
ふうまつりに捩じ込む松永さん!

風魔で考えてたけど松永さんの方が似合う気がして!まさかのプレイヤー参加おめでとうございます^^


このまま物陰連れ込み√でもいいのよホトトギス←





mae tugi

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