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※もしも夢主が九州じゃなく大阪に落下していたら






「雪子様っ」

『え?あ、うん、どうしたの三成』

「本日は城を見てまわってはいかがかと…彼方の世と違い、足場の悪い所もございますゆえ」

『そうだね、明るいうちに行こうかな』

「で、では私がご案内致しますっ」

『ありがとう、お願いするね』

「はい!雪子様、御手を」

『…………』



差し出された三成の手に、そっと自分のそれを重ねた








『いやぁ…無自覚なんだよね、きっとそうなんだよね』

「どうかなさいましたか?」

『…何でもない』



仲良く手を繋ぎ城を見てまわる私たち。しっかりがっしり、三成の手が放さない

向こうに居た頃は秀吉さんの妹(仮)な私に、触れることすらできなかったのに…人は変わるもんだ


…いや、違う




『三成…私が政宗さんの手を取ったの、そんなに悔しかった?』

「次に会った時は奴の右手を斬ります」

『あははー…それは困るな、うん』




奴は刀が六本あるので三本に減っても問題ありません、と真顔で答える三成。十分問題だと思うけどな


とにかく彼らの帰り際。私は離れたくないと手を伸ばし…政宗さんの手を掴んだ

しかし実際に落ちたのは三成の居る大阪。今は石田軍…いや、豊臣軍にお世話になっている



「貴女様が大阪へと降り立ったのは必然!必ずや天下を捧げますっ!!」

『あー…うん、頑張ってね』

「はいっ!!!」




…三成は悔しかった。だから側に居る今は、何かとあれば私と手を繋ぐことを求める

嫌じゃない。嫌ではないけどさ、ほら、いろいろと。例えば―…





「貴様らっ!!!そこで何をしている!」

「ひぃっ!!?三成様!雪子様っ!?」

「いつ…誰が…休息を挟めと命じた…!」

『…………』



城をまわってる最中。本来は稽古の時間なのに隠れて休んでる人たちを見つけた

私から見れば厳しすぎる稽古。少しくらい休みを増やしてあげてもいいのに三成曰く、秀吉様と半兵衛様の兵がそんなに軟弱なはずないって



「雪子様に醜態をお見せするか…!貴様らには豊臣軍としての自覚が足りんっ!!」

「え、と…」

「あの…」

「今すぐ稽古へ戻るか首を諦めるか即急に決断しろ!」

「あ…はい、戻りますっ」

「失礼しますっ」

『…あは、は』



怒鳴る三成に彼らは恐怖…ではなく笑みを顔に浮かべ、さっさと稽古場へ行ってしまった

未だにイライラとした様子の三成。けど気づいて欲しい、彼らの笑顔の意味を




『み、三成…』

「はっ!!申し訳ありません雪子様!更に厳しく兵には言い聞かせ…!」

『うん、それ、無理だと思うな』

「っ!!!?や、やはり不甲斐ない私では、秀吉様の軍の統率など…!」

『三成のせいじゃないよ。じゃなくて原因は…これ、かな』



そう言って私は、しっかりと繋がれた手を彼に見せるように持ち上げた







「ああ、おはようございます三成様、雪子様」

「…………」

『お、おはようございます…』

「あ!三成様、雪子様、今日も良い天気で何よりです」

「…………」

『で、ですね!』

「………今日も睦まじいな、お二人は」

「そうだな、見せつけてくださる」

『・・・・・』



私と三成とすれ違うたび、微笑ましげに挨拶してくれるお城の人たち。それはもう優しい顔で見てくる。三成が怒っても「仕方ないなぁ三成様は」みたいな感じだ

……これで統率は大丈夫か豊臣軍





「よいよい、三成の暴君をぬしが緩和しておるだけゆえ」

『緩和しきれてない気もしますがね。むしろ変な方向に向かってるかと』

「ヒヒヒッ…三成が西の大将ならばぬしは西の象徴。慎ましく太閤の妹を演じ続けよ」

『えぇー…もしバレたら、さすがの大谷さんも怒られますよ?』



クツクツと笑う大谷さんを前に、私は盛大にため息をついた

三成と出会ったその日から始まった嘘。今更ネタバラシもどうかと思うが、騙し通すこともできない



「いや、知ったとて三成はぬしを手放しはしまい」

『…ですかね』

「普段は使わぬ頭を使い、別の理由を見つけて雪子の側に居るだけよ」

『ときどき大谷さんが本当に三成の親友か不安になります』

「ヒッ、義のため三成のため…と言いたいが、雪子も満更ではなかろう?」

『…………』



ドタドタと大きな足音が近づいてくると、また大谷さんが笑い始めた

やれ嫉妬した犬が来よる、と。その声に廊下へ視線を向けた私は彼の言うように、満更ではないのだろう








「雪子様!」

『はい、』

「失礼しますっ」



もはや日課であるからか三成が手を差し出した瞬間、咄嗟に自分のそれを重ねてしまう

羞恥は無いのだけれど、大谷さんの「満更ではなかろう」という言葉がグルグルと頭を回る

この繋がれた手が、答えなのか




『…ねぇ三成、私はいつまで秀吉さんの妹でいればいい?』

「は…?」

『あ、いや、うん、ごめん…言ってみただけ』



三成が驚いた顔をしたから急いで否定した。けど意外にも彼の返事は「近いうちに終わります」

え、まさか三成は気付いて―…いや、それは違うらしい



「雪子様が豊臣の象徴である以上、その御心に多大なる重圧が掛かっているのは承知しております」

『いや、むしろ超お姫様扱いでたいへん申し訳ないです』

「しかしこの三成、必ずや秀吉さまの仇を討ち取り戦を勝利へ導いてみせましょう!」

『話は聞いてね三成。特に私はね、戦とかより―…』

「全てが終わったその明日に、必ずや雪子様をお連れ致します!」

『っ―…!』

「…雪子様との約束は必ず守ります」





雪子様の願う“明日”に、ずっと私が居れば良いと思います

いつかの三成の言葉。私が泣かない、三成と大谷さんが居る。それが私たちの明日だと




『そっか…そうだね、約束だもんね』

「はい!ですのでこの手は、雪子様が迷わぬためにあるのです」

『っ…ふ、ふふ、まさか…三成がそんなこと言うとは思わなかった』

「っ、し、失礼しました!出すぎた物言いを…!」

『いいの、だって三成が連れていってくれるんでしょう?』

「もちろんです!」

『うん、じゃあ私の手は三成に任せる』

「お任せください!」




嬉しそうな三成を見て城で働く人が、将が、家臣が、大谷さんが微笑ましげな顔をする


こんな明日なら私も嬉しい






20130611.
キリ番666666 yi様
アイコピ夢主と三成ギャグ甘…じゃなくほのぼの寄りすみません!

せっかくなのでユーコピ三成オチ風です^^
ただしチラチラとアイコピ本編絡みのことを入れております←





mae tugi

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