「豪炎寺!…はぁ…待ったか?」
「いや、全然待ってないぞ?…あ、でも大分来ないから迎えに行こうとは思った」
あまりない休日を使って二人で出かけることになった。
修也は相変わらずしれっと恥ずかしいことを言ってくる…絶対確信犯だよな…
「んなっ…お前がうちに来たら止まらないだろ!前科あるんだからな!?」
「ははっ…お前が自分でゴーグル外すのが悪いんだろう?」
「だからあれは目が痒くなったからって言ったのに…!」
そんなくだらないことを話しながら賑やかな通りを歩いていく。
…ふと端から見たら俺たちはどう見えるだろうかと考えた。
…仲良さげに歩いている二人の男子中学生…にしか見えないよな…
ふと気づいたら俺は立ち止まっていたらしい。修也がこっちをじっと見ていたので何かと見返した。
「立ち止まってないで行こうぜ有人?」
修也があの色んな人を引きつける笑顔でこちらを見ていた。俺は自分なりの笑顔を返し修也と歩き始めた。
だけどなぜか落ち着かない…なんだろう?
「有人、」
急に真面目なトーンで修也に話しかけられた…と思ったら、修也が俺の手を絡め取って綺麗な恋人繋ぎにしてきた。
恥ずかしくて顔から火が出そうだがどこか暖かい感情に襲われた…やっぱり俺は…
「修也、やっぱり俺も修也のことが好きだ…」
「あぁ…俺も好きだ…有人は笑うのが相変わらず苦手だな」
俺の目に焼き付いて離れない修也の笑い方が好きだった。
…本人になんか言ってやらないけど。
「有人ー真っ赤だぞ?」
「んなっ…赤くなってなんかない!あっついんだ!あーもう、くそっ…!」
悪態をついていても口が笑みの形に歪む。
あぁ、俺はどうして彼がこんなにも好きなんだろうか…。
「ほら、早く行くぞっ…」
そんな幸せを噛みしめながら修也の手を取って歩き始めた。
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