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私は、どこかの殿とその侍女の間に生まれた子らしい。
何もしていないのに生まれながらにして周りから恨まれる立場の私は幼いころに捨てられ、そして拾われた。大きくなると奉公に出された。
しかし、奉公先が私を雇えるほど余裕がなくなった、ということでやめさせられてしまった。これからどこで生きていこうか、ふらりと町はずれを歩いていると、急に腕をつかまれた。
しまった、追剥にでも捕まったか、と振り返ればそこには柔和な笑みを浮かべる美青年がいた。
「やっと見つけた」
「え?」
わけがわからずに首をかしげると、目の前の彼は私の手を両の手で握り、祈るように言った。
「僕に力を貸してはくれないか」
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