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異世界、つまりパラレルワールドを信じるか、と言われればもちろんそれはYES。
理由なんて単純で、あったら楽しいだろうな、くらいだ。

退屈な学校生活もあと数か月で終わりだ。

本当はもっと友人を作りたかったし、恋人もほしかった。思い描く高校生活なんて結局理想でしかなくて、イケメンなんていなかった。そもそも進学校に通う私が今更恋人なぞ作ったところで即破局なんて目に見えているじゃあないか。受験なんてさらさらする気のない私はさっさと就職先を決めてしまったので今更焦る必要なんてない、と思っていた。

何気なく聴いたラジオ番組。
地域密着型の地方ローカル番組だがなかなか面白い。それに地域のことを知っているといろいろ役に立つんだ。面接とかではとくに。


『あなたは異世界を信じますか?…面白いお便りだねー、リスナーさんはどうなのかな?』


軽快な音楽を背景に、メインパーソナリティがリスナーからの手紙を読み上げた。
このパーソナリティは信じないらしい。
たとえば、2つの選択肢があってYESを選んだ世界とNOを選んだ世界があったとする。YESが正解なのにこの世界の自分はNOを選んだとしたら、YESの世界に嫉妬するから。という理由らしい。


なるほどな、と思った。


でも私は、


「YES、だよね」


華の女子高生のラストを飾るような、刺激が欲しいのだ。







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