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夢を見た。

おかしな夢だった。

目が覚めて思ったのは、なぜ彼だったのか、という点だ。
夢というものは見る人間の深層心理にかかわるものではないのか、だとしたならなぜ彼が出てくるのだろう。
彼とは、漫画の中のキャラクターのことだ。漫画のキャラを夢に見ることが特別珍しいわけじゃないが、なんというか、ジョジョの夢を見ることが私には物悲しいというかかかわるすべを持たない非力さというか何とも言えないのだ。

モハメド・アヴドゥル。

彼が私の夢に現れた。なぜ彼が、と思ったが、彼は夢の中で私にいくつかの質問をした。まるで心理テストのように。なるほど、だから占い師であるアヴドゥルが現れたのか、適役だよね。


そして彼は夢の中で私に言った。


「スタンドを授けよう」


まさか。
思いっきりバカにして、そんな夢を見た自分を笑った。
現実を見なさい私。あるはずないわ、そんなこと。


「ザ・ジョイキラー…」


ベッドから起きだし、制服に着替えながらつぶやいた。
私のスタンドの名前だと教えられた、それを。


『なんだ、出せるじゃあないか』


「!?」


突然の声に振り替えるとそこにはまるで有名な殺人鬼が立っていた。
悲鳴をあげそうになったが、その殺人鬼風の姿が半透明に透けているのに気が付いた。


『それが君のスタンドだ』


目の前のスタンド ―ザ・ジョイキラー― は私を見下ろしている。


「ジョイキラー…?」


手を伸ばすと、う゛あ゛あ゛…、と呻いた。
かわいい奴じゃあないか。


『君はこれから命を狙われることになる』


「は?」


そういえばこの声はどこから聞こえてくるのだろう。男の人の声だが、ややノイズが混じっている。少なくとも、この部屋に人間はいない。ということは…。

テーブルの上の小型ラジオの電源が、いつの間にか入っていた。


『私はスティール、君にスタンドを授けたものだ』











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