結局ペーペーの私がジムリーダーに勝つのはムリだったようで。
ジョーイさん相手に愚痴を言っているとオーバとデンジが挟みこむようにそれぞれ隣りに来た。



「オレの勝ちっつーことで、旅なんか行かせねえ」

「……………」

「でもお前のことだから、夜な夜な誰にも言わずに勝手に行きそうだよな」

「……チッ」



オーバめ、余計なことを。
まあどっちにしろ隙をついて出てくけど。
すると、デンジがなにか思いついたように電球をピコー、と浮かばせた。



「…ミノリ、オレん家泊まれ」

「はあ!?」

「あ、オレも泊まる!」

「テメーは自分家帰れ」



私の頭の上で火花が散る。
最近までよく泊まりに行ってたけど、その、好きだとわかってしまった今は意識しちゃってムリだと思う。



「いや」

「なんで」

「やっぱさ、男女同じ屋根の下ってヤバくね?」



…………………。

なぜか沈黙。
ん?ん?、と両サイドの2人を見ると、吹き出された。



「……はい?」

「お前、女だったっけ?」

「……はい?」

「あー、久々に戻ってきたから忘れてたわ」



好き勝手言うデンジとオーバ。
こいつら、人が気にしてることを……!
どうせ女の子らしくないですよ!!



「ジョーイさん
こいつらの頭ん中の私の価値観を変えてやって」

「ふふ、難しいでしょうね
はい、ブイゼルは元気になりましたよ」

「ジョーイさんまで……!」



モンスターボールを涙目で受けとりながら、がっくりうなだれた。
まだによによしてる2人 。
まずオーバと向き合って、がに股で広がる脚の間を蹴りあげてやった。

股間にヒーーット!!

声にならない声で叫んでのたうちまわるオーバ。
それを見てデンジが青ざめる。



「お前、なんてムゴいことを……!」

「うおら、テメーも脚開け」

「開くかバカ!
そこが女らしくねーっつってんだよ!」

「あ!?
見てみろ体つきを!
男に見えるかデコっぱち!」

「そーゆーことじゃねえ!
あとデコっぱちやめろ!」



まだ悶え苦しんでるオーバを尻目に、デンジは私の首根っこをつかんでずるずる引きずっていった。



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