「使うポケモンは一体
先に相手を戦闘不能にした方が勝ちだ」



ナギサジムのバトル場に連れてこられた。
なんかデンジは燃えてるし、ブイゼルも燃えてるし、オーバも燃えてるし。
なんなんだこの状況は。



「デンジが勝ったらミノリは旅をやめる
ミノリが勝ったら…どうしたい?」

「…ナギサから出てく」

「はあ!?
旅じゃなくて!?」

「出てく」



そのうちデンジとミカンちゃんは付き合うだろう。
もしかしたらもう付き合ってるかもしれない。
そんな2人を、この街でずっと見つめていくなんてできない。
そんなのいやだ、生き地獄だ。
大好きなこの街を離れるのは辛い。
でも仕方がないんだ。



「もしもオレに勝てたらな」

「黙れ機械オタク」

「チッ…、じゃ、始めるぞ」




デンジが慣れた手つきでモンスターボールを投げる。
そんな瞬間、飽きるほど見てきたのに、ついドキッとしてしまう自分に腹がたった。
赤い光に包まれて出てきたのはオーバのヘルガー。
こっちの地方ではまず見かけない珍しいポケモン。
いろんなところを旅してきたんだなあ。



「デンジ、手加減すんなよ」

「…おいドナルド
なに言ってやがる」

「お前がナギサ出てくっつったからだよ
そんなの許さねえからな」

「黙れ、マック買ってこい」

「ほんとお前は……
なんも変わってねえな」



からっと笑うオーバ。
悪かったな、変わってなくて。
お前のアフロも変わってねーよ。



「バトル開始!」



賽は投げられた。
もう後戻りはできない。

先にしかけたのは私だった。



「ブイゼル、雨ごい!」



フィールドが雨で濡れる。
電気タイプ相手ならやっちまってくださいみたいなものだが、炎タイプなら大丈夫。
むしろこっちがやっちまうぞみたいな。



「水の波動!」

「よけろ」

「させるか、スピードスター!」



水の波動をよけたヘルガーに、スピードスターがヒット。
ドヤ顔をしているとデンジが反撃してきた。



「ヘドロ爆弾」



べちゃ、となんとも気味の悪い音を立ててブイゼルが吹っ飛ぶ。
でもなんとか持ち直したようで、すくっと立ち上がった。



「火炎放射!」

「水の波動で防御!」



バトル場を白い水蒸気が包みこむ。
見事に相殺できたようだ。
雨ごいの効果があったらしい。
それから先も攻防は続いた。
すいすいの特性でもすばやさが劣っているから高速移動で積んで、電光石火で間合いに入り、気合いパンチをお見舞いする。
ふら、とよろけたけどまだ体力は余ってそうだ。



「悪の波動!」

「!
電光石火でよけて!」



あっちもあっちで悪だくみで特功を積んでいる。
そんな一発を食らったら終わりだ。



「セ、セーフ……」

「当たったらやばかったか?」

「るさい!
オーバ、こいつヘルガー使いこなしてんじゃん!」

「だな
オレもびっくりだ」

「…………(゚皿゚#)」



いくらタイプ相性が良いからって、あっちはジムリーダー。
しかも使うポケモンは四天王のものだし、それを使いこなすときた。
私、めっちゃ不利!!



「ブイゼル!
スピードスター!」

「悪の波動」

「ちょ、電光石火!」



間一髪で悪の波動をよけるブイゼル。
ほっと胸を撫で下ろすと、デンジが追いうちをかけてきた。



「オーバーヒート!」



…………………。

ヘルガー の オーバーヒート の こうげき !
しかし なにも おこらない



「あー、デンジ
そいつオーバーヒートは覚えてない」



オーバが気まずそうに頬をかきながら言う。
デンジがオーバを睨みつけた。



「なんで覚えさせてねえんだよ」

「ほとんど火炎放射と悪の波動で倒せたから……」

「………ぶっ!!」



デンジのマヌケさに、つい吹き出してしまった。
笑いだしたら止まらない。
お腹を抱えて笑い転がっていると、マンガのように怒りの血管を浮き上がらせたデンジが、不意うちしてきやがった。



「火炎放射」

「あっ!」



よけきれずにもろに当たってしまった。
倒れたブイゼルは目を回している。
…負けた。
それも不意うちで。
納得いかない気持ちを抑えて、私はブイゼルをポケモンセンターへつれていった。



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