「リア充なんかくそくらえーー!!」



どうもこんにちは、ナマエです。
生まれてこのかた彼氏なんてできず、日々年齢=彼氏いない歴を更新しております、はい。

11月11日、ポッキーの日。
言い換えるとリア充の日。

今日は最初の休み時間からポッキーゲームをしているカップルさんを教室はおろか学校内どこにいたって一組は見ますよ。



「レッド君とグリーン君も、今頃誰かとポッキーゲームしてるんだろうなあ」



まあ私にとっては好都合だけどね。
こうして他の女子が二人を捕まえておいてくれれば私は犬として働かなくてもいいし、周りの女子から睨まれることもない。

上機嫌で久々に友達とお昼ご飯を食べようと友達の元へ駆け寄った、その時。



「ぐふぅっ」



ワイシャツの襟を後ろからつかまれた。
おそるおそる後ろを振り向くと。



「出た…!!」

「なーにが、出た…!!だよ
人をバケモンみたいに」

「私にとってはバケげふんげふん」

「なんか言ったか?」

「いえなにも」



やっと解放された私は、少しだけ後ずさってグリーン君と距離をおいた。



「どうしたの……?」

「昼飯、行くぞ」



逝くの間違いじゃないくて!!?

勇気をふりしぼり、反抗しようとしたけど、グリーン君の一言で強制終了した。



「あんま遅くなると、レッドがキレるぞ」



そりゃ逝くわ。



◇◆◇◆◇◆



「……………」



もくもくとご飯を食べる私。
二人は他愛もない会話を楽しんでおられるようで、私の存在はログアウトされたようです。

私、連れてこられた意味あった?



「そういや今日ってポッキーの日だな」

「……………」

「女子どもがうるせーのなんの
お前んとこにも来ただろ?」

「…来た」



やっぱり来たんだ。
…なぜもっとがっちりつかんで離さないんだ、女子よ。

内心でその女子の怒りに燃えていると、レッド君がとんでもないことを言い出した。



「…ナマエ、ポッキーゲームやる?」

「…はい?」

「ポッキーゲームやる?」



言葉を聞き取れなかったんじゃないのよ、理由を聞き取れなかったの。



「え?
ポッキーゲーム?」

「…いや?」

「め、滅相もございません」



目が、目が本気だ……!

助けを求めようとグリーン君を見るけど、微妙な表情をしてるだけで止める気ゼロ。

ああ、そんなことしてる間にレッド君はポッキー用意してるし!!



「な、なんで私と!
他のもっとフレグランスな香りのする美人としようよ!」

「フレグランス…?」

「私なんか洗剤のにおいしかしな―…」

「いいにおいする」



首もとに、レッド君の顔が埋まる。
冷や汗がダラダラ流れ落ちてきた。

今動いたら、殺られる…!



「レッド君、ふごっ」



開けた口にむりやりポッキーを差しこまれ、むりやりあごを閉じさせられた。
涙目でレッド君を見ると、そのきれいな顔に笑みを浮かべて一言。



「わざと折ったら、わかってる?」



逝った、私の精神が。

少しずつ、少しずつ、レッド君が私の顔に近づいてくる。
ほんのすこしの時間のなのにとても長く感じられた。
レッド君の口がポッキーに触れる、その直前。


レッド君の左手が空気をつかんだ。



「ぐぇふっ」



そして謎の悲鳴。
なにかを察したグリーン君がレッド君の手の下の方に蹴りを入れると。



「きゃんっ」



鳥が、なにもないところから現れた。
グリーン君の蹴りによって吹っ飛んでいく。
どしゃっと体が地面に打ちつけられる音がして、思わず目を閉じた。

い、痛そう……!

もう一度その鳥を見てみると、50pくらいの黄色いでかい鳥。
突然むくりと起きあがって、けたたましく叫び始めた。



「いったあああい!
仮にも創造主に向かって!!」

「しゃべった」

「私はあんたらの生みの親!
(二次創作だけど……)」



人語を話す大きな鳥はレッド君を睨んで言った。



「くっ…さすが原点にして頂点
伊達じゃないわ」

「なんか視線感じたから」

「蹴ったら当たってマジびびったわ
やっぱレッドはなんか見えんだな」



幽霊!?
だめだよ、そんなの見ちゃだめだよ!!

言いたいけど、ポッキーを口にくわえていて話せない。
だって、もし勝手に取ったら起こられそうじゃん!



「で、なにしてたの」

「…リア充なんて爆発しろ計画」

「は?」

「ポッキーゲームをしたリア充の人格を入れ替えてたの!!」



鳥がその翼で目をおおい、その場に倒れこんだ。



「だって!
非リア充なんだもん!
彼氏いないんだもん!!」



非リア充。
嗚咽と共に発せられたその単語が、私の心に引っ掛かった。
ああ、この鳥は。



「羨ましかったんだよね」

「ナマエ……?」

「みんな好きな人と幸せそうにするなか、自分はそういう相手がいなかったのが寂しかったんだよね?」

「……っ」

「私もそうだから、わかるよ」



そっと、地にふせる鳥の頭をなでる。



「リア充は確かに羨ましい
だけど、妬んだりしちゃだめだよ
その幸せを祝ってあげることで、それが自分にも返ってくるんだから」



人のこと言えないがな。
さっき思い切り妬んでました、ごめんなさい。

でも鳥は感動したように瞳を揺るがせ、羽に吸いこまれてありもしない涙をぬぐった。



「…そう、よね
私まちがってた……
みんなに謝げふうっ!!!」



ゴッ、鈍い音がして、鳥が目の前から消えた。
驚いて空を見れば、黄色い鳥がまるで野球ボールのように勢いよく飛んで消えていく。



「…話長い」



レッド君の足から、煙がたっていた。

なんという脚力……!
あんな殺人シュート、超次元サッカーできちゃうね!!

鳥、死んでないかな、と心配していると、そんな余裕はないことを気づかされた。



「ナマエ、ポッキー折ったね」

「え」



口にあったポッキーが、ない。
そろそろと、視線を下にやればそこには、無惨にぱっきり折れたポッキーが。



「レ、レッド君」

「言ったよね、さっき」

「わざとじゃ…」

「あー、ナマエ
レッド今機嫌悪いから、気をつけろよ」

「はい!!?」

「ポッキーゲーム中断させられたの、怒ってんだな」

「なんでそんなポッキーゲームに執着するのォォォ!!」



逝きました。



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