ロコンをモンスターボールから出す。
そして戻す。
嬉しくて何回か繰り返していると、ロコンが露骨に嫌そうな顔をした。
謝りながら抱きかかえる。
マツバさんからもらったボールをポケットに入れて、家の外に出た。
相変わらず、そーっと。
外に出るとそこにいたのはミナキ君。



「マツバとうまくいったようだな」

「ん……
それより、どうしたの?」

「ああ、そろそろエンジュから発とうと思ってな
それのあいさつ回りだ」

「スイクン探し?
見つかるといいね」

「次こそは捕まえてみせるぜ!」



ガッツポーズをしたミナキ君が、なにか思いついたように手招きしてきた。
キョロキョロ辺りを見回して、耳打ちする。



「最後にいいことを教えてやろう
マツバは千里眼で遠いところにある物や人を見つけることができるが、自分がほしいものは見えんらしい」

「へえ……」

「マツバが嫌になったら、カントーにでも逃げれば気づかれんぞ」

「はは、覚えときますよ」



去り際に、メモを渡された。
ポケギアの電話番号が書かれている。
マツバに飽きたら電話してこいとのこと。
笑っていると、マツバさんがミナキ君の首に腕を回した。



「ミーナーキーくーん」

「マツバっ、いつのまに……絞まってる絞まってるぞ!」

「チユリちゃんに今度はなに吹き込んだの」

「マツバは耳かきすると一瞬で寝るって
なっ、チユリ!」

「え?
あ、うん」



それを聞くと、首を絞める力を強くした。



「ジ……マツバさん!
ミナキ君死んじゃう」

「……………」



納得いかないような顔をしつつ、手を離す。
ゴホゴホとむせるミナキ君。
でも懲りずにまたマツバさんをからかい始めた。
うんざりしながらマツバさんが街の外を指さす。



「ミナキ君!
あそこにスイクンが!」

「なに!?
待て、スイクン!」



ミナキ君はものすごいスピードで走り去っていった。
…なんていうか、スイクン馬鹿。
すると、マツバさんが真剣な顔つきで弁解してきた。



「チユリちゃん、ミナキ君が言ったこと嘘だからね」

「耳かきすると寝ちゃうって?
今度やってあげますね」

「…………うん」



小さく頷くと、手を握ってきた。
相変わらず冷たい。
冷え性なのかな、それともゴーストマスターだからかな。



「マツバさん、ジムは?」

「抜け出してきた」

「………………」

「だってチユリちゃん家の前にミナキ君がいるのが見えたんだもの」

「………………」

「…わかった、戻るよ」



手を繋いだまま歩きだした。
私も連れてくつもりらしい。



「ちょ、マツバさん?」

「ジムにいても人が来ないとき暇なんだよね」

「暇潰しですか……」

「それに、できるだけ一緒にいたいし」



そんなこと言われたら、ついていくしかない。
そのまま、ジムへつれてかれた。



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