吹雪さんのベッドの上で真っ白な狼の抱き枕を抱えてごろごろと転がる。ああ、暇だ。吹雪さんは猫のクッション顔面に座り込んでベッドを背もたれにし、ぱらぱらとファッション誌をめくっている。
もう充分おしゃれで女の子釣ってそうなのになんでそんなのを見るんだろう。更に女の子を引っ掛けたいんですねわかります。
部屋に彼女が来てるんだから何かすればいいと思うんだ。何もしない吹雪さんはもうなんていうか大人の余裕がただよってるんだろう。
こんな餓鬼に何もする気がないと。なるほどね。
『吹雪さん』
「んー?」
『何もしないんですか』
「何を?」
・・・・・・子供扱いをしているのかそんな気がさらさら無いのか。おそらく後者であろう。しかし私はもう中学生なのだ。
ぐっと吹雪さんの服の裾をつかんでこっちを向いてもらう。
きょとんとした顔に少々あきれながらもそっと唇を合わせた。
『・・・』
どやっ!どや顔をしてみる。やったぞ私は。ざまぁみろ!
しかし吹雪さんは5秒ほどぽかんとしてものすごく長いため息をついた。
「もう、紫円ちゃんってさ」
『・・・なんですか』
余裕たれながしどころかあきれ返っている吹雪さん。ちくしょう、狼の抱き枕をぎゅうっと締める。不細工になってしまったが気にしない。
『私は子供じゃないんです』
「ベッドに座ってスカートでごろごろしてるあたり子供だよ」
どういう意味だ。色気もくそもないとい意味か。
「・・・明日起きれなくなっても知らないよ」
とさ、と背中にベッドの感触。
真上に吹雪さんの顔があって押し倒されたのかと納得。
「紫円ちゃんってばかだね、見ないフリをしてたのに」