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主は忙しそうだ。俺が非番で執務室に主といても常に筆を動かしているし電話も結構な頻度で鳴っている。主は審神者界の中の偉い人、らしい。政府は頭が上がらないとも聞いたことがある。
こんな多忙だとイタズラを仕掛けるどころか話をすることもままならないじゃないか。
…せっかく今は俺と主だけなのに。
「─はぁ?会議?なんで俺が…」
またすまーとふぉんを耳に当てて眉間にシワを寄せている。主は会議と言った。今月で何回目だろうか。流石に本丸から離れていく日が多いと俺でも行くなと言ってしまいそうになる。
主がいないと進められない会議なのか?
「その話は前の会議で解決しただろう。」
そふぁから腰を上げて主の近くへ寄る。顔を片手で覆っていて気づいてない。あ、溜息ついた。
「…あー、わかっ…ん?」
話の途中でふと顔を上げた。俺が主の手に自分の手を重ねたんだ。労るように撫でて、ぎゅっと握る。黙って俺を見上げる主に笑いかけた。
別に話しかけたわけではない。…だから、これくらいは許して欲しい。俺だって主を堪能したい。
「…いや、なんでもない。一旦切るぞ。」
無理やりというような電話の切り方をした。よしよし、俺に気が向いてきたか。
「話はいいのか?」
「…お前が変なことしてくるからだろ。」
「変なこと?」
ジト目で見られた。あーあ、目の下に隈ができて…もうずっと寝てないんだろうな。
主を休ませるのも俺の仕事だ。今みたいに手も動かさずに俺だけを見てればいい。
「…はぁ、もう…お前のせいだ。」
「にひひっ、やりぃ!」
一緒に茶を飲もう。その後は一緒に昼寝がしたい。
手を引っ張って席を立たせ、そふぁに並んで座る。そして自分の思うように主を堪能した。主も何も言わずにされるがままだったから許してくれたということだ。
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