大変だ

「何かあったんですか?急に呼び出して。」

自分の心臓の音がうるさく感じた。

「…海崎くんも察しているだろう?」

「まぁ、なんとなくは。」

多分佐々木さんは、


「あと一週間で審神者体験終了だよ。」

審神者をやるかやらないか、って話。

「…はい。」

「それで決まった?」

「……。」

本当は考えないようにしていた。答えが出てこないのは確かだ。

「やはり迷っているのかい?」

迷うなんてそんなことあるわけない。はずだった。

「多分そうですね。」

ここで嘘ついても仕方ない。

「…困ったなぁ。」

佐々木さんは苦笑いをしていた。なぜそんなに急かすのだろうか。

「審神者さまを困らせようとは思っていません。しかしこれだけは審神者さまにお伝えしたいです…!」

足元にいたこんのすけが俺の足の上に前足を置いた。俺は屈んでなるべく目線が合うようにする。

「刀剣男士を人間と同じように接してくださる、『海崎さま』のような方が、審神者になるべきだと考えております…!」

こんのすけは必死に伝えている。

「俺は、」



「君たちも早く帰った方がいい。」

「…はい。」

「失礼いたしました!」

手を振る佐々木さんに頭を下げて扉を閉めた。佐々木さんは読めない表情をしていた。ただ、笑っていた。それが1番わからなかった。

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