自分流お手入れ

廊下を走っていると和泉守兼定が部屋から出るところを見つけた。

「運んでくれてありがとうな。」

「!…いや、どうってことはない。」

無傷、ね。

「ゆっくり休んでくれ。」

手入れ部屋の扉を開いた。



「…遅いな。」

布団に鶴丸国永が横になっていた。和泉守兼定が敷いてくれたらしい。

「すまん、今すぐ手入れする。」

鶴丸国永の隣に座る。

「ははっ…驚いたか?」

「あぁ。すげー驚いた。」

「…鶴らしく、なっただろう?」

「…そうだな。」

どっちかって言うとフラミンゴだろ。

「そうか!驚いてくれたか!鶴になったか、俺!……いたたっ」

痛そうに顔を顰めた。

「こんのすけ。」

「はいっ!」

ポンと俺の頭の上に現れた。

「こんのすけは鶴丸国永の刀を手入れしてくれないか?」

鶴丸国永がいつも腰にぶら下げてる刀を渡す。

「わかりました!わたくし、頑張ります!」

「…主は、何をするんだ?」

「…決まってんだろ?お前自身の手入れだよ。」

指や首をボキボキと鳴らした。

「え。」

お覚悟。



「え、な、何を…」

主に肩と腹が赤くなってるな。

「鶴丸国永、脚に怪我はあるか?」

「擦り傷くらい…」

「…なぁ、鶴丸国永。」

「な、なんだ?」

「脱がしていいか?」



「…は?!」

みるみる鶴丸国永の顔が紅くなっていった。

「嫌なのはわかってる。だが、お前を直接手入れしたい。刀だけ手入れしても意味ねぇ。だから…頼む。」

床に頭をつけた。

「ちょ、頭あげてくれっ!俺は嫌と言っていないぞ?!」

「でも…」

「そりゃ、一瞬驚いたが…あ、主なら大丈夫だと思うし…」

最後の方は聞き取れなかった。

「…ありがとう。」

俺を信じてくれてんだから期待に応えないとな。

「痛かったら言えよ?」

鶴丸国永の襟を掴んで丁寧に腰まで降ろした。

「ッ…」

鶴丸国永は自分の腕で顔を隠していた。隙間から頬が紅いのがわかる。

そんなに痛いのか。

「…これ、破いても何してもいいから我慢しなくていい。」

俺が着ていたエプロンを顔の方に被せた。それを強く握りしめている。すぐに終わらせよう。

「っん…」

肩と腹に大きな傷があるのを確認し、なるべく痛くないように優しく撫でた。


「俺はこんな驚き求めてねぇよ。」

傷が消えるまでずっと同じことを繰り返していた。

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