「先輩って恋愛経験豊富そうですよね〜」


岩下先輩を見ていたらふと漏れた言葉。先輩は特に表情を変えずにそうかしら?と言う。
先輩は我が校のマドンナだと思う。いつだって男子が女子の話をするたびそれに岩下先輩は出てくる。まあ気持ちはわかる。こんなに綺麗だもん。あのシャンプー飲んでんじゃないの、ってくらい美人で賢いもんね。でもそう騒ぎ立てる奴らみんな、先輩の本当の顔を知らない。


「私とつきあった人なんか数えるほどしかいないわ」

「えー?そうなんですかあ?」

「ええ。・・それに、何だかみんな死んじゃうのよね」


何が死んじゃうのよね、だ。あんたが殺してるんでしょ。あんたを裏切ったから。


「ねえ今・・私のこと考えてたかしら?」

「キャハ!先輩は美人で羨ましいな、って考えてたんですう」


そう、と先輩は意味ありげに笑う。その笑い、苦手なのよね。私よりあくどいことを平気で考えてそうで。


「でも先輩、好きです」

「あら。じゃあ嫌いだったのかしら」

「どうでしょうね。いいじゃないですか、今は好きなんですから」

「そういいうものかしらね」

「はい」


私を中心に世界は回っているんだし。


END.
最後の1行を福沢に思っていて欲しい←意味がわからん