「それさ、本気で言ってるの?」

「当たり前だろ」


一応確認すると即答された。当たり前だろうと奴は言った。けど昨日までは確かに殺し合いをしてきた相手を飼いたいと思うだろうか。そんなの1日悩んで導きだせる答えではない。いや、ないと思いたい。


「これは君のためを思って言ってるだけであって喧嘩売ってるわけじゃないけど―…、シズちゃん何か食べた?例えば新羅の差し入れだとか、1年くらい賞味期限の切れたアイスだとか」

「そんなの食うわけないだろ」

「じゃあ熱あったりする?」

「ねえ。言っとくけど俺は真剣だ」


シズちゃんの真剣な瞳とか、誠実そうな顔とか。これだけ見れば告白のように見える。けどその後に言った内容は告白のようで死の宣告だった。


「俺は真面目にお前を飼う。愛玩動物として」

「!」


シズちゃんはそれから見たことないくらい柔らかな笑顔を浮かべた。いや、違う。見たことがある。この笑顔はそう、鳩尾を殴られたときに微かに見えた幸せそうなそれに、そっくりだった。