シズちゃんが嫌いだった。気に食わなかった。だから陥れたいと思った。恥ずかしい思いをさせたくなった。


「臨也。それ本当なの?」

「うん。俺うそつかないよ」

「言っとくけど、僕は反対だよ。君のことだから俺の言うことは聞かないと思うけど」

「それは違うよ新羅。新羅の言うことを聞かないんじゃなくて、俺以外の他の人の言うことは聞かないだけ」


でも例外として、ドタチンの言うことは素直に聞いてる気がする。だって俺のお母さんだし。噂のドタチンは離れたところで調べものをしている。


「まあそれより。臨也が静雄にどんな反応されてどんな大怪我したって私は知らないからね」


新羅がここまでくどくど言ってくるのは珍しい。今まで俺のやることにはあまり口出ししてこない奴だったのに。そんなに俺が今からやろうとすることは駄目なことなのだろうか。

俺はいま、ラブレターたるものを書いている。あて先はシズちゃん。もちろん俺はホモじゃない。これは嫌がらせというやつだ。
嫌がらせの内容は、俺が3日かけて生み出した女らしい文字で書かれたラブレターをシズちゃんの下駄箱に入れるというもの。ラブレターには「放課後中庭の木の下で待ってます」と書かれてある。シズちゃんのことだろうから女の子に告白なんてされたことないだろう。だから俺は少しだけシズちゃんにいい思いをさせてあげるんだ。ああなんて優しい俺!

最後の最後に、偽名を書く。名前も女らしく華子にした。変にくるりとかまいるにするよりは多少古風だがマシだろう。完成したラブレターに我慢していた笑みが洩れる。楽しみだな、シズちゃんの反応。





→続きます