シズちゃんは馬鹿だ。彼は俺を殺したいほど憎んでる。そして実際いつも殺しあいの喧嘩をしてきた。…いや、殺しあいの「ような」の喧嘩をしてきた。 俺がどんなに殺意を込めてナイフで刺してもせいぜい5mm。逆にシズちゃんの攻撃は当たったら痛いが決定的一撃を決めてこない。本当にごっこ遊びのようだ。 俺はそれが嫌だ。別に自殺志願者ではない。だが、相手にも全力を出してほしい。 これじゃあ何だか割りきれない。 「シズちゃん、」 「あ!?てめ…ノミ蟲!池袋には来るなって……」 「シズちゃん俺が嫌い?」 「あぁ!?何当たり前のこと言ってんだ?」 「だよね。じゃあ本気出してよ」 「はあ、?出してるっつぅの」 「出してないよ」 出してたら俺はここにいないよ。君は怪物なんだから。 怪物は些細な力で人間を殺せるはずだろ。 「は?望みなら殺してやるっつーの」 投げられたポストが左腕をかする。ずきんと痛むそこは、致命傷にはならない。 「ねえほら早く、」 早く全力出して俺を殺そうとして。 じゃないとなんかこれじゃあ、俺の片想いみたいじゃん。 END. |