ごきん、
嫌な音がした。かと思うと右足首を駆け抜ける激痛。


「わあ、静雄さんじゃなくても骨って案外簡単に折れるんですね!知ってました?臨也さん」


知ってました?だって。悪趣味だなあ帝人くんは。たった今、右足首を折られた人に言う台詞じゃない。現在進行形で足首から身体中を駆け回る痛みに声が出ない。いや、出せないの間違いだ。今、口を開けば苦悶の声しか出ない。それではサディストな帝人くんを悦ばせるだけ。


「………」

「……返事、してくれないんですか?」


しないんじゃなくて、出来ないんだから仕方ない。俺の気持ちがわかってるくせに帝人くんは残念だなあとまた呟く。僅かに下がった室温と声のトーン。嫌な予感しかしない。


「悪いこにはお仕置きが必要ですね。…左足もイきますか」


ほらやっぱり。こういうときの予感だけは当たる。
帝人くんの足が左足首を軽く踏む。さっきとやり方が一緒だ。多分このあと、全体重をかけて踏まれるんだろう。まったくありえないよね。ちょっと言いつけ破ってシズちゃんと喧嘩しただけでこの仕打ち。俺の彼氏は数本ネジが外れてる。

そんなとこもひっくるめて帝人くんが好きな俺のネジは、数十本は外れてる。


END.
もっと増えろ帝臨