「・・・・・ん、・・」


体中に纏わりつく倦怠感に目が覚めた。体中が痛い。特に太ももにひきつるような痛みを感じる。確か寝る前、粟楠会にいつもどおり情報を提供して、それから―・・。


「あ・・・・!」


思い出した。俺が空き家に逃げようとしたら足を掴まれて腹に一発やられて。


「い・・・・っ!」


瞬間、思い出したように腹が痛み出す。ありえない、思い出さなきゃよかった。ずきずきと痛むそこに冷や汗が出る。絶対新羅に見せなきゃ治らない。

這いつくばって出ようとうつ伏せになったところで足に違和感を感じる。それを増長させるように、足を動かせばジャラ、と金属の音。嫌な予感がする。そしてこういうときの予感ほど大抵当たる。確信めいたものをもちながら足首に手を回す。冷たい金属の感触に溜息が出る。予想はしていたが、残念なことに足枷がついてあった。これじゃ逃げられない。


「・・どうしよ」


呟いたところで誰も来ない。何も意味を成さないのはわかってる。幸い手は自由だが、ナイフと携帯が抜き取られている。足枷は腕力だけでは千切れそうにない。



きぃ・・・・・・


「!」


隣の扉の開く音がした。