・まさかの情事後設定



シズちゃんがシャワーを浴びている音が聞こえてくる。出てくるのはあと何秒後だろう。彼がここを出ていくのは何分後だろう。

がちゃ、と扉の開く音がした。もちろん出てきたのはシズちゃん。髪が少し濡れていて何だか扇情的な気分になる。ああ、お盛んなこと。


「臨也、次いいぞ」

「・・・・入らない」

「入らないって・・中出ししたんだから掻き出さないと・・」

「いい」


そんなことしなくていい。お腹を壊してもいい。俺はシズちゃんの一部を残しておきたい。
シズちゃんはベッドに座った。ぎし、とベッドが軋む。俺はシズちゃんに抱きついた。


「どうした?」

「今日が過ぎたら、俺たちまた喧嘩しなくちゃいけない」


やだな、シズちゃんと殺し合いなんて。したくないよ、もう。
けれど池袋で有名な俺たちが急に仲良くなるのは、色々まずいのだ。

昼は殺し合いをして、夜は愛し合って。
この生活をいつまで耐えればいいんだろう。

空気が重くなった気がした。沈黙が痛い。けれど何か喋ろうとは思わなかった。
そんな中言われた言葉は、とてもよく心に響いた。


「逃避行するか」

「え・・・・・・・・どこに?」

「俺たちを知らない人間ばかりのとこ」

「・・・・・・」

「少ししかいられないけど、それでも気休めにはなるだろ」

「これって新婚旅行?」


からかうように囁くとシズちゃんは顔を真っ赤にした。え、嘘、本当に?


「俺、お前より稼ぎも少ないけど、ぜってえ幸せにするから、」


うん知ってる。だって今でさえ俺は十分に幸せだから。


END.