「良かったら昼飯、一緒にどうだ?」

俺は思いきって逆之上を誘ってみることにした。
若干声が震えたのは気にしない。

「あ?なぁんだ、お前…一緒に食うヤツいねぇのか?寂しい奴」

「そ、そういう訳じゃ!ただお前と一緒に食いたいと!………おも…って…」

はっと俺は口をつぐんだ。しまった素直に言い過ぎた。大して仲良くない奴がいきなり一緒に飯が食いたいなんて言ってきたら確実に不審がるだろう。そう思って俺は顔を歪める、泣かない、俺は泣かないぞ。もう俺、変人じゃないか。

「……はっ、なんて顔してんだよ」

けど逆之上は急に吹き出してから軽く俺の頭を叩いた。そのまま逆之上は歩いていき思わず振り返る。

「……へ?」

俺の口から気の抜けた声が溢れる。すると逆之上も俺を振り返って平然とした顔で口を開いた。

「なんだよ、食わねぇのか」

「え……え、あ、や、く、食う、食うけど!」

しどろもどろに、でも何とかそう言うと逆之上は気がなさそうに俺から背を向けた。でも逆之上が向かっていったのは天才テラスの方じゃなくて、一般生徒が使う席の方へ歩いていった。
その瞬間に俺のテンションはMAXに振り切れた。
いやあ、まさか本当に一緒に飯が食えるなんて。声掛けてみるもんだな、誘ってみるもんだな。

「な、なんか驕るぜ逆之上!」

「ばーか、称号持ちはタダなんだよ」

まあ、今はまだただのクラスメイトという関係から抜け出せそうにない。





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