▼よくばり



※少しだけ手出してます



少しだけですよと言ってからが長いのはいつものこと。確実に反応を楽しんでいるのだろうが、年中暇なわけでもないので早く終わらせて欲しい。

「ジョースターの血は本当に美味だからな…おっと」
「酸で出来てそうな唾液こぼさないで下さい」
「つくづく生意気だな」
「あなたの子ですから」
「それもそうだ」

感覚が二点に集中し、ぼくはそっと目を閉じる。そら牙が噛みついた。慣れからの行動でいくらかの衝撃は抑えられても痛みまでは抑えられない。好きにしてよいと言われている大きな背中に爪を立てて足を張った。吸血時の性的な興奮は性格などで隠せるはずもなくあられもなくぼくの前に立ちはだかる。いつもわかっていて小量をゆっくり確実に吸うのだ。

「っう、ぁー…」
「お前は性別を誤って生まれてきたみたいだな。男の血でここまで良質なものがあっただろうか」
「はあっ、うるさいです……ッ、外見など殆どあなたからの遺伝…ァ」
「全く開くと可愛いげのない口だ」
「ふ、ぅぅ…いたい、痛い!イヤだ…」

気にさわったのかさらに深く噛まれて食い込む痛みに声をあげる。腰を同時に締められ体が反る。逃がすまいと覆い被さってくるため反れた上体も意味なく包まれて、抵抗するも相手の方が何倍も力強く無意味と化す。絶対的な力の前に弱く抗う自分はひどく滑稽だとジョルノは思った。

「もうダメです、飲み過ぎ…っ」
「致死量は理解してるぞ」
「そうじゃないでしょう!僕、明日から学校と仕事ありますから、ちょっと!」
「騒がしい……」
「誰のせいで!貧血になっては困るんですよ」

本気のストップをかけると、未練がましく傷口を舐めあげてから二本の牙が離れる。そのあと急に傷まわりを吸われ、痛みと快楽に弱った体は浅ましくも反応を示してしまい顔を赤らめる。傷がじくじくと疼く。

「いい加減にして下さい」
「ンッン〜、もう吸血してはいないだろう?」
「女でもないしヤりたいわけでもないので愛撫染みたことはやめろと言っているんです」
「別になんでもよかろうが」
「良くないです。怒りますよ」

見上げて睨み付けるとそんなもの痛くも痒くもないと言ったようににたにたと笑う姿が憎たらしい。道徳観念というものが無いであろう父は息子の自分相手でも何を仕出かすかわからない。というかそれ以前に息子とも思っていないかも知れない。流石に貞操の心配はしたくないが、性生活の乱れた父がこの調子では近いいつか危機が訪れてもおかしくない、と思うと少し背筋が冷えた。そんな道は切り開かなくていい。
尽きない悩みに思わず舌打ちすると余計面白そうに口元を歪める。人の不幸は蜜の味、と言ったところだろうか。

「…何を考えた?」
「別に何も」
「嘘つきめ」

そういうと傷口を擦っていて手の空いていない自分の肩を体重で押し倒される。遅く反応して肘をつこうが100kg越えを押し返せる筈もなくベッドに縫い付けられ、腕を絡め取られてひとつに纏められた。楽しそうな表情が尚更気に障る。

「『ゴールド・エクスペリエンス』」
「そんなに嫌か」
「当たり前でしょう」
「……お前らジョースターは私に靡かないからつまらんな。それも遺伝か」
「知りませんよそんなの」

一気に心配になったためスタンドを出して抵抗を示すと、さもおかしそうに眉を上げてろくでもない父は言った。本体でもスタンドでもパワーで勝てるとはとても思わないが、正直に言ってぼく自身はパッショーネの中ですら細身な方で本体のパワーは本当にたかが知れていた。だから自分の精神力をそのまま写すスタンドを出したのだが、父のスタンドにはパワーどころか根本的に勝ちようがないのだ。父もスタンドを出したのを見てより一層睨み付けるも、これから何が起こるか微塵もわかりもしない。

「時よ止まれ」

そう聞いて一瞬のうちに服を寛げられようがもう驚きもしないが、ただ嫌な予想だけが脳に広がる。本気を出されたら自分は抵抗のしようがないのだ。

「嫌がると尚更したくなる、そうは思わないか?ンン?」
「思いません、重いです早く退け」
「なに、最初から入れやしない」
「…ふざけるな」
「おお、そんな言い方も出来るのか」

驚いたような仕草を見せながらも空いている手で胸から腹をそろりそろりと撫でられて、指の冷たさと感覚に体を強張らせる。臍の窪みを爪で引っ掛かれ、直接的でないにしろ確かな感覚に微かに足を擦り合わせた。つい先程まで感じていた肉欲を忘れられる程年を取ってはいないのが悔やまれる。

「………っ」
「フフ、実に愉しいな」
「アンタはそうでしょうね……!」
「若い体は良い。快楽に弱く堕ちやすい」
「誰が……」

堕ちるものか、と言おうとした言葉は悲鳴に呑まれて出てこなかった。平坦な胸の一部を強い力でつままれて痛みから優先されて出たのだ。女でもなければ慣れている筈もなく普通に痛い。そのまま鼻歌を歌いながら左肩にかかっている服を引っ張り痣を露出させられて、本当の目的を理解する。これ以上の失血は体に響く。

「ちょっ、待て…!」
「私はこの痣が好きだ。ジョジョの血がお前に流れていると思うともう堪らない。全て飲みほしてしまいそうだ……」
「エクスペリッ…ちょっとワールドで押さえないで下さい!輸血パック用意しませんよもう!?」
「お前の血があればいい」
「駄目だと言っているでしょう!」
「イヤだダメだと、生娘かなんかか」

二回目の性の貶めにスタンドを解除して力を入れていなかった両腕を前方に振った。本体で抵抗していなかったため最低限しか力を込めていなかったらしくあっさり拘束から外れて父の胸に思いきり当たる。組んでいた指先を早々と解いて腕を突っ張って体を少し起こしたところで右肩から容赦なくベッドに体を叩きつけられた。肩の骨が軋み、一瞬息が詰まる。上機嫌に笑いながら体を捻られて星型の痣が父から見て正面になって、肩から腕は押さえつけられて一切の抵抗ができない。

「大人しくしていろ。サービスだ」
「は……っあ!ぁくっ」

一言添えられて突き刺さる牙にびくりと体が反応する。やってくる快楽と胸の先を押し潰されて来る痛みに声を堪えることができなかった。刺激が絡まってわけがわからなくなりそうだ。腰に確かな意思を持って性器を擦り付けられてカッと顔が赤らみ、声が漏れる。形容し難い感覚が背筋をかけて肌に触れるもの全てがそれを増幅させる。

「うあっ…、あ、あっ」
「ん……、どうだ、悪いことばかりではなかろう」
「や…!触、なァッ」

感覚に素直に勃起していた自身を覆うように撫でられ息が上がる。自慰なんかよりとびきり強い快楽は思考を奪うには十分過ぎた。触れる手から逃げるように腰を引くと後ろに当たり、逃げ道の無いままに追い詰められて肩を震わせる。限界が近い。

「だっ、あ、やめ…やめろ!も、ぅ」
「ん……く」

ひときわ勢いよく血を抜かれて頭が朦朧とする。内腿が痙攣したような気がしたがそれすら曖昧になり、ただじんわりと体の熱を感じる。牙が抜けてあとから冷たい血液が肩を流れたのを感じたころ、パンツ……、否、下着が濡れているのにやっと気付いたが顔を上げようとすると尋常じゃない目眩に襲われままならない。息が上がったまま赤目を爛々とさせている父を睨んだ。

「悪趣味過ぎる」
「ンン?良すぎたか?この程度で根をあげていたらいつかトんでしまうぞ」
「…そのいつかなんて来ない。輸血パックはしばらく止めますから後悔してください」
「アレが無くなるならお前を食べてしまうのも時間の問題だな」
「レクイエム出しますよ」

もう乗っているだけだった手を叩き落として匍匐前進で父の手元から逃れる。濡れた下着が気持ち悪くて小さくイタリアンスラングを吐き捨てた。滅多に言うことが無い分恨み辛みが込もっていた気がする。立てるのか、と血を吸って生き生きとした声で言うのに無視を決め込んでシーツを引き剥がしてくるまった。起き上がれそうにない。

「出てってください」
「拗ねてるのか」
「誰のせいなんでしょうかね」
「自分の身も守れないお前のせいだな」
「最低ですね」

ファッキン、と英語で聞こえるように口に出し目を閉じる。血を多く失った体はすぐに意識を遠ざからせた。




141116

加筆修正170515



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