▼あなたの



ほぼ会話文です





「ふふ 懐かしいな」

ユーリスがふと呟く。

「どうしたの?」
「ん エルザとカナン見てたらさ、父さんと母さんを思い出してさ。」
「俺とカナンを?」
「うん。母さんはカナンみたいにお転婆じゃ無かったけどね。優しい所とか、綺麗な髪を光らしてさ。似てるよ。」
「ふぅん…俺は?」
「知りたい?」

ユーリスにしては珍しく子供らしい笑みを浮かべる。嗚呼、これは試されているのかな。

「教えて欲しいな。ユーリスが教えてくれないならいいけど。」
「……つまんないの いいよ、教えてあげる。」

少し機嫌を損ねたかなと感じたけどユーリスは楽しそうで安心した。

「ふふふ エルザはね、やっぱり優しい所が似てるかな。それに、笑顔が凄く似合うんだ。」
「へぇ…」
「…ニヤニヤしながらこっち見ないでよ…っ」
「だって嬉しくてさ。顔に出てた?」
「出まくりだよ……あ、あとさ、包容力?がある所。僕は父さんの腕に抱かれて寝るのが好きだったんだ。」
「じゃあ俺の腕に抱かれて寝るのも好きって事?」
「……まぁそういうこと。」

直接では無いけれど気持ちを不器用に伝えてくれるかわいい恋人。嬉しさから腕の中にそっと小さな身体をおさめる。ユーリスもノってくれたのかすりと顔を寄せてくる。
優しくさらさらとした髪を撫でると、俺の胸に顔を埋めて、なにやらぼそぼそと喋って再び顔をあげた。

「なんか言った?ごめん聞こえなかったからもういっか」
「っ…!なんでもないっ!」
「?…そう」

結局何を言ったのかは教えてくれなかったけれど、甘えてくる恋人を前にまあいいか、と忘れていくのだった。


(カナンと結婚する事を考えて嫉妬したなんてそんな!)


11.04.06


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