▼ある家の主夫の小さな幸せ




熱い、気がする。
もしかしたら風邪を引いたかも知れない。でも今日は週一のセールが…。





目が覚めれば白い天井。横を向いたら白いカーテン。驚いて勢いよく起き上がれば眩暈がしてベッドへ逆戻り。

「っあー…、はぁ…」
「起きたか」
「ひゃっ、あ、アシュ兄…」

どうしてこんなとこにいるんだ。会社…、そういえば…。

「タイムセールが!」
「寝てろ!」

もう一度起き上がれば今度はアシュ兄の手でベッドに逆戻り。乱暴な手つきだがそれは照れ隠し、な気がする。いつもは俺を止めたりしないから。

「あ、目覚めましたかファブレ君。よかった」
「あ、先生…」
「迷惑をおかけしてすみません。今から連れて帰るんで。」
「お大事に。ファブレ君珍しいんで多分疲れてるんですよ。セールには行かない方がいいですよ」
「あ…すみません。でも…」
「お兄さんに頼んだら?安静にね」

名も知らぬ先生に念を押され、苦笑い。アシュ兄は鼻で笑った。今日は優しい。クラスの奴が持ってきてくれていたのか鞄は既にあり、それを感謝しながら先を行くアシュ兄を追いかけた。
部活時間なので学校の生徒はいるが、いつもいる弟妹達がいない。当然だが。久々にアシュ兄を独占できてる気がして、嬉しくなって腕にすりついたら小突かれた。熱のせいかアシュ兄が優しい顔をしているように見えた。今日はセール諦めよう、そして思い切り甘えるんだ。


家に帰ると世話したくなるのはわかっているけれど。



保健医はノエルちゃんです。

11.12.20


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