▼Bad guys pretending



※黒いルーク様がいます
 少し気持ち悪い表現があります
 パラレル?



長くだぼだぼのズボンをはいて、サスペンダーを付けて、自分だけの妙なシャツを着る。最後に忘れそうなブーツをはいて、いざ出発。


「うわぁあああ!?ばっばけも…」

びしゃり、また新しく一人分の血が地面にこぼれ落ちた。ここは人を追い込み過ぎて血の匂いがすごく強い。地面は始末していない血を吸い込んで赤い。どす黒い赤が好きで、何人もここに追い込んでは血の匂いの恐怖を植え付けて殺した。その度に散る鮮やかな赤も好きだった。
人を殺したあとはその動かない肉片をかじってみたり、わざと血を浴びてみたり、綺麗に関節で引き離して解体したりした。人間の関節は脆いこと、血液は意外と病み付きな味になること、人肉は味は良いけど食感はあまり良くないことを知った。最初は性欲ばらしにも使ってみたが、動かないし声もあげないと言うのはつまらなかった。

「今日はこれで終わり、かあ」

つまらない。愚痴をこぼして血に塗れた路地を出る。もう少し骨のある人間はいないのか、と思うが連続殺人犯とかでもない限りそんな小賢しいやつは滅多にいないだろう。それこそ自分とあいつぐらいだ。お気に入りの片手剣をコンタミネーションで腕に取り込んで肌にこびりついている血を払い、暗い空に笑った。楽しくも嬉しくもないが儀式みたいなものだ。足元に落ちているさっきの男が落としたらしきボタンを蹴りながらマイ・ホームへと足を進める。帰ったら愛しい二人が待っている。


*

ただいまーっと広い玄関に声が響く。ワンテンポ遅れて左の道から俺の大好きな一人の金の頭が覗いて、俺を認めるとにこりと笑った。

「おかえりールーク 風呂入るか?」
「ん、後でな あいつは?」
「まだ戻ってないよ …今日はレプリカに当たってるみたいだ」
「ふぅん」

物足りなかったので久しぶりに殺し合いでもしようと半身を求めたがタイミング悪く不在らしかった。ガイとするとこちらが手加減されている気がして正直のところ楽しめなかった。最後にしたのはもう10日も前だったため、身体が疼いて堪らなかった。
どうせ人目にもつかないので最初に着たうざったい衣類を脱いで、城の警備員代わりのゴーレムを倒していった。こうしてゴーレムはより強くなるのだが。屋上まで登りつめて、もう一度玄関目指して降りて行く。いつもならこれで下まで行けば帰ってきている筈だが何故か今日はいつものように仏頂面をさらしている奴はいなかった。ガイも少し遅いと感じたのか、玄関まで出てきては忙しなく戻っていった。時計を見れば時刻は午前2時で、ガイは眠そうだった。ガイは普段外にあまり出ない俺達のために朝起きて競りに行ったり、買い物をしたり、音機関をつくったりと普通の生活をしていたため当然とも言えるが。

「ガイー」
「どうしたルーク」
「あいつは俺が捜しておくからさ、もう寝ろよ…?な、」
「うーん…でもなぁ、帰ってきたら迎えてやりたいじゃないか。そっちの方があいつも嬉しいだろ?」
「そこは俺が説明しとくからさぁ」

自分と同じように自分の半身も迎えてやりたいと主張するガイはやんわりとでも寝ることを拒んできた。俺の意見をするりと交わしてまだ起きている気でいるガイを見ていると嫉妬心が沸いて来て思わず手がでてしまった。寝ろよ!と叫びつつ思い切り癖で鳩尾を打ち無理矢理寝かせてしまった。明日怒られてしまうであろうがそこは自業自得なので諦めた。おまけにガイは運ぶのが大変なのでそのまま放置していくという仕打ちをしてしまい自分でも苦笑いしてしまう。

それにしてもどこに行ったのだろうかあいつは。レプリカなんて人間の真似をして犯罪を犯すぐらいの雑魚しかいないはずなのに何かに手こずっているのだろうか。さりげなく便利連絡網を使って意識を探るとだいたいの場所は曖昧にわかったので感覚を頼りに捜し回る。目をつむりつつイメージで進むとどしんと誰かにぶつかって片目をあけると紅い髪が見えて、嗚呼こんなにも近くにいたのかと気が抜ける。いつになく小さく感じる背中を見つめぶつかったのにとんでこない暴言に違和感を感じた。

「……アッシュ?」
「……、…ッ……」
「おーい、アッシュ〜?」
「っ!く、レプリカ…」
「どうかしたのか?」
「…いや、……」

おかしい。なんと言うか気持ち悪いとも言えるぐらいに無反応。なんか悪いモンでも喰ったのかな…。
気を取り直したのかなんでここにいる、だのいくら人目がないからって服ぐらい着ろ、だのレプリカの分際で迎えにでも来たのか、だの愚痴をこぼされた。ムカつくけどこれがこいつのペースだ。ようやくいつものように上から目線で帰るぞ、と促されてべたつく機会を得た、まだ足りないから後で殺し合いしようね、と。その後初めて断られて驚いた。


次の日はガイに説教をくらった。無理矢理寝かせたことと、パンツ一枚で外に出たことと、アッシュのこと。


11.10.22
訂正13.10.21

[補足]
アッシュはレプリカの始末にあたっていつも通り出て行ったんですけど、レプリカが後から悪い事だと知りごめんなさいと謝罪していたのを切り捨てたんです。
それでルークを思い出して、どうしてこんなことしているんだと疑問に思い、同時にルークを少し怖いと思ってしまってフリーズ…みたいな
アッシュは元々乗り気じゃなかったんです。ガイはルークについてきたのでルークがしたい事はやらせてあげてます。でもお説教もしてます。
ちなみに住んでいるのはコーラル城のつもりです。
ガイ様が頑張って掃除しました!




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