▼愉快な○○達



※レプリカだけ昔の記憶があるストーリー部分永遠ループの世界
 逆行してないけどルーク最強



「シンクー」
「………なんだよ7歳児」
「むぅ、遊びにきたんだよ2歳児」

呑気に窓割ってその上に座っている赤毛をとりあえずおろす。重い。これってばれたらやばそうだからさっさと部屋にでも押し込もうとしたら自分と同じ高さの声が聞こえて頭を抱えたくなった。そういえばフローリアンも一緒なんだぜ、と自慢げに言うルークにお説教は決定した。
どうして年上を叱らなければならないかなどとっくの前に考えるのをやめた。叱られても当の本人は久しぶりのダアトに相変わらず変化ねぇなと愚痴をこぼすだけで叱る気も起きない同じ緑が謝った。最初に言った通りただ暇つぶしに遊びに来たらしいが、こちらは六神将の仕事で忙しいと言うのに何を考えているのか。いや、考えていなかったんだった。かといって放っておくと僕の部屋は酷い事になるしダアトに混乱に巻き起こすだけなので仕方なく付き合うのだった。もうこの生活、循環に慣れてしまったから。二人に聞こえるように溜息を吐き出した。

「…で、今回は何をやらかす気?」
「だーかーらー!遊びにきたの!たまには普通に遊びたい」
「………………ガキ」
「………今回は火の海が希望か?いいぞ最近ブームなんだ」
「遠慮させて頂きます」
「お前が消せばいいじゃん?」
「無茶言わないでよ?僕は最初からスターテス変わってないんだから」

物語を回数重ねる事に経験値を積み、全体的に強い者が増えた世界であったが、仲間達が上限まで達したのとは違い、わかりやすいぐらいにルークの力は跳躍的に伸びた。いくら一度の物語が1年にも満たないといえど何十回も繰り返していれば時間もできる訳で、七番音素を元に他の音素の術を次々に覚えていった。被験者が勉強熱心なのも手伝い、勉強すれば染み付く頭で、多少詠唱が間違えていようと術を出す事は容易かった。ただし、仲間達の前で堂々と放つ訳にもいかず練習場所が無いことで大分荒っぽい発動の仕方である。なので被害を受けるのはいつもこちら側、ダアト本部である。前回は覚えたてだとか言うグランドダッシャーをプランターの苗木が抜けるぐらいの弱さで発動させたらしいが元々大技だったせいかダアト半壊させる勢いで放ち、相当な騒ぎを起こした。しかもこの赤毛はお腹すいたから帰るだの某主人公みたいな事を言い出してシンクも追いつかないような俊足で仲間の元へ帰って行ったのだ。おかげで(可哀相に思えてきた)攫ってきたイオンをモースが手放さなければならないと言うこちらには不利な状態が起きたものだ。勘弁して欲しい。
とまあ話は脱線してしまったがこの永遠の7歳児は非常に迷惑なのだ。人(レプリカだけども)が頭を抱えているのも知らん顔でフローリアンとじゃれているこいつ。僕個人としても記憶は無いにしてもダアトからしても迷惑な超人だ。これでも毎回同じ終わりを遂げるのだから相当精神も成長している。そこがまた迷惑なんだが。

「おーい 聞いてるか?聞こえてるか?」
「人を難聴患者みたいに言わないでよ…… で、何しにきたの」
「だから遊びに…」
「はぁ…、本当の事言いなよ」
「えー」

何故そこで駄々をこねる、と突っ込ませて欲しい。いい加減ここから動かないと窓を割ったのがレプリカルークだとかばれて大変面倒臭いことになる。なにか話し出そうとした同じ緑の襟元と、赤毛の手を引っ張ってイオンの私室の奥に放り込んだ。イオンが図書室にいたとさっき小耳に挟んでおいて本当によかった。自分と同じ体重を引きずり息をあげている自分を見てルークは笑った。この笑顔ばかりは最初よりよっぽどいいと思う僕は保護者にでもなったのかと自問自答して。馬鹿馬鹿しい。さて導師もいないことだし話を再開しようか。

「で?結局何しにきたの。フローリアン」
「フローリアンね、ふじゅつ?覚えようと思って」
「んで、譜術は無理だろうからさ、イオンやシンクのあれ、えーと、導師が使えるやつ」
「カースロット?」
「ちげーよ!あのぱーってなるやつ 体力あればできるんだろ?」
「ああ…、まぁ、できなくはないけど」
「でそれをシンクが教えてる間に俺は遊ぶとゆーわけ」

「……イオンに教わればいいじゃん…」
「暇じゃないだろ?」
「僕もね!暇じゃないから」

再び頭を抱えたくなった。どうやら僕は暇だと見られているらしいが全然そんなこと無い。それにフローリアンの相手をしろときた。つまりルークは放っておけと?放っておける筈がない。なんか親みたいな言い方してるけどそこは置いといて。とりあえず、フローリアンにダアト式譜術を教えると何処でかますかわからないし、そもそもフローリアンが覚えられるとも限らないのでダアト式譜術を教えるのは却下だ。となると、こいつらは追っ払う事になる。もうそれで良い。上手く言い回せば簡単に騙されてくれるのだから。

「はぁ、とりあえずフローリアンはダアト式譜術は駄目!レプリカルークも用が無いなら帰る!僕だけじゃなくてそっちも忙しいだろ?」
「いや?まだシェリダンにいるし」
「早く話進めてこいよ!それにフローリアンもまだモースと一緒にいないと……」
「鼠食べるふりするの疲れちゃったもーん おいしくないし」
「………はあ…、今度遊んであげるからさ…ほら、お前らがタルタルソース、違ったタルタロスで地殻で向かう前ぐらいにさ」
「本当だな!よしっじゃあ…水よーメイルシュトローム!」
「ちょっ、あ、馬鹿ああぁぁぁあああ!!」

炎がブームとか言っていたのはどこのどいつだよ!確かに火事にならないだけましだけど!約束代わりと言わんばかりに去り際に術を放って行くのは本当に止めて欲しい。もう遅いが。激しい流れに部屋の中の書類は水で濡れ破けていた。気は済んだのかフローリアンを連れて窓をもう一枚割って赤毛の子供が帰っていく後ろ姿をただ見ているしかできなかった。ちゃんと味方識別をしていただけ助かったのだが。一週間もたたない内にもう一度来るであろう赤毛に愚痴を漏らしながら散らばった書類を拾い集める。ヴァンが来るまでに二カ所の窓の修復を頼んでこの部屋を片付けなければならない。嗚呼やはり僕は忙しいのだ。あんな愉快な奴らに付き合っていられないぐらいに。



11.10.02



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