▼happening


※ガイ→→→→(←)ルーク
 



「ふ……、っ」

さっきからなんかむずむずする。あれだよ、鳥肌がたってる感じ。魔物の爪が掠った頬が触りたいような触りたくないような感覚になり、手を出しかけてひっこめる。同じ動作を繰り返して3回目、ガイが気付いて声をかけてくる。もちろん絆創膏を装備して。流石ガイ。

「ルーク、どうした?痛むか?」
「ん、別にいてぇ訳じゃねーけど」
「じゃあさっきからどうしたんだ」

最初からバレていたみたいで口ごもる。いつもはこの観察力が役に立つが、今みたいな時は本当に厄介だ。目を逸らしつつ言葉を無くすとガイはするりと俺の頬を撫でて、俺の喉からは変な声が出た。いや、普通の声なんだけどなんか恥ずかしいし、やっぱ変な声だ。ガイは俺の声なんか無視して絆創膏を押し付けてくる。すると、今度こそ前の方にいる皆に聞こえる声量で変な声が出た。ガイは様子がおかしいのに気付き手を離す。その顔には心配と驚きが張り付いていた。一番近くにいたアニスはこちらを振り向いてびっくりしてた。

「…どうした?」
「わかんね…勝手に」
「んん〜?」
「ちょ、んっ」
「ルークその声なになに?それに顔赤いよ?まさか……」
「違ぇし!ガイが触るからっ……あぅ、や…」
「……ガチ?」
「ぅん、ちっげーよ!ガイもいい加減離せ!」

面白がっているのかむにむにとガイが頬を両手挟みにすると本当に面白いぐらいに声があがった。何故か力の抜けている手でガイから逃れ、自分の身体を探る。頭ははっきりしてるし、体も特に異変はない。ならばこれはなんだろうか。自分にはよくわからず皆に聞こうと背筋を伸ばすと後ろからついとなぞられてついに腰が抜けた。首だけ回せば存在を忘れかけた厭味大佐が、にっこりと笑顔だった。まさか、とは言わせないような笑顔でもうこちらは負けたようだ。



「という訳で、今日一日は堪えて下さいね〜」

超笑顔で言われてはもう反発する気も起きなかった。所詮ジェイドが(本人曰く)ちょっとだけ危ないものを昼食に混ぜたのだ。結果は人体に影響は無いと出たらしいが、何と言うか、出まくりである。文句を言っても今日一日はどうにもならないらしいのでおとなしくこうして体育座りである。他の体勢だと風だの地面だのの刺激が大きいからであって楽しくもなんともない。おまけに皆が面白がって触ってきたりしてなれない感覚にぞわぞわしっぱなしだ。こんな状態で戦闘なんてできるはずが無いので今日は野宿だ。少し遠めのところに宿はあったが今はそこまで歩くことすら難だろうと言うジェイドの優しさと言えない気遣いだ。
時間が経つと何もしていないのに息があがってきて、熱を出したかのように頭がぽーっとして、視界がぐるぐると。ジェイドは俺の様子が面白いのか可笑しいのか目が合えばそれはそれは楽しそうな顔をした。明日殴りかかってやろう。ナタリアがアニスに質問している内容も耳に入らないくらい見事に薬に呑まれてしまい肉体的にも精神的にもきつかった。夕飯前には皆飽きたらしくそれぞれ好きなことをやりだしてそんな中ゆういつ自分を心配してくれているガイがすごく嬉しかった。なんだかガイに全部任せても良い気がしてガイの肩に頭のせたら服と髪で擦れたけどちゃんとのった。そうしたら余計に安心して体温を求めて手を伸ばした。当然ガイに抱き着くような形になって、そんなことを気にする前に俺の意識は途切れた。



「お、気がついたか?」
「……?」

気がつくと真正面にガイの顔があって、そのバックには深い青があって。自分は寝ていたのだと認識した。気絶と言った方が良いのか。起き上がろうと右手を動かすとそこにはガイの腹があり、頭にはガイの手があって、その頭があるのは地面のような固い場所では無かった。汗をかいて少しだるいがむくりと起き上がると尻にはガイの足が当たった。どうやらガイに抱き着いてずり落ちたまま寝ていたらしく胡坐をかいた足の上にいたらしい。いつもならびっくりして跳ね退くぐらいだが睡魔に負けもう一度、微笑んでくれている青年に抱き着くのであった。




**

「ガイ、昨日はありがとな。すっげー安心した」

夕飯を食べていなかったので多少腹は減っていたが無事元に戻った身体でガイにお礼を述べると、ガイはいつものように笑って困った時はお互い様だろ、と言った。ガイのこういう所が好きなんだよなぁ。もしかしたらアニスが言っていたのが正しいかもしれない、と今更思う。とりあえずジェイドは殴れなかったけど散々文句言っといた。そんなことで止めるような奴じゃないのはわかってるけどさ…。




(やばいぞ昨日のルークすごく可愛かった俺よく堪えたああああ)
(いつまで気持ち悪い顔を晒すつもりでしょうかねぇ)
(大佐どうにかしてくれません〜?気持ち悪いですぅ)
(お断りします)




11.08.27




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