▼蒸し暑い部屋で


どうしてこんなに暑いんだ!酒場の当てられた部屋で思う。クーラーを暑さに耐え切れず付けた日に、アリエルに環境に悪いだの扇風機を使いなさいだの言われて切られてしまった。扇風機ないくせに。エルザ達みたいに長く城に居れる身分でもないし何よりこの暑さのせいで動く気力すら削られてきている。まだまだ夏はこれからと言わんばかりに上がる気温にうんざりする。だのにエルザは城から戻りたてで冷えているのか知らないけどやたらくっついてくる。耐えていられるのは最初の1分ぐらいですぐに暑い、気持ち悪いと言っても粘り強く抱きしめてくる。冬だったら子供体温のエルザに抱き着かれるのはありがたいのに。暑さにやられているのかイライラする。一番暑い時間を通りすぎたぐらいにエルザはまた戻ってきた。

「ただいま、ユーリス。」
「…おかえり 涼しい城にいればいいのにどうして戻ってくるの?」
「ユーリスに会いたいから。最近きてくれなくなったじゃないか。隣、空いてる?」
「空いてないし暑いからくっつかないで」
「…ユーリス俺のこと嫌い?」

どうしてそうなる。す、好きじゃなくなったとかと暑さは別だ。暑いものは暑い。もともとの育ちの関係もあるけど暑さにはめっぽう弱いのだ。クーラーが設置されているのに付けてはいけないと言う矛盾の苛立ちをエルザに言う。そうするとやっぱりエルザは僕を腕の中におさめて頭を撫でてくる。すっぽりとまではいかないが、おさまってしまう小さな身体に苛立つ。暑苦しさの中にまぎれている心地良さに溺れそうになるも、…暑い。エルザの胸板が暑苦しい。いつものようにエルザの脛を思い切り蹴ってクーラーの入っている1階へ。後ろからどたばたと追いかけてくる姿をちらりと見て、夜ぐらいは手だけでも繋いでやろうかなと思う。酔ったエルザに絡まれてそれは実現しないことになるが。




11.07.06


戻る

TOP





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -