▼かっこいいんだよ


※書いた本人もよくわからない




突然だけどエルザってかっこいいと思う。男の僕から見てもムカつくぐらいにかっこいい。勿論顔とかの問題もあるけれど僕がピンチの時は助けに来てくれるし、いつも前線で剣を奮っている背中は大きかった。いつもはへなへなしててパシらされてるくせに。ルックスで言ったらジャッカルのほうがかっこいいはずなのに。どうしてこんなにも目が離せないのかな。今日も僕はエルザを見る。相変わらず誰にでもへらへら笑って、なんかメモを握って左側へ走っていった。多分またお使いでマルシェにでもいくんじゃないかな。暇だったし行き先はわかっていたので後を追ってエルザのふわふわ浮く羽を眺めた。あ、看板にぶつかった。

マルシェが見えてくるとエルザはスピードを落として色々な店に声をかけまわった。どうせエルザのことだから握っているメモの存在を忘れて一件一件記憶にある商品があるか確かめているのだろう。本当に抜けている。それはいつも繰り返す行動で、いつになったら記憶するのだろうか。
マルシェの半分まで進んでも頼まれた商品がないらしくがっくりと肩を落とすエルザ。その様子がおもしろくて。からかいたくなって声をかけるとついてきていたのに気づかなかったのかどうしてここに?、だなんて言った。剣持って無いと気配にも気づかないのか。つくづく普段のエルザの警戒心の無さにこっちも肩を落とす。

「はぁ……で、何頼まれたのさ」
「えーと、…なんだっけ?」
「手に持ってるものみたら?」
「あっ!そっか……えーっと、銅10個と、毛皮3枚と、絹」

そんなものマルシェにあるか!と言いたくなった。お買い物=マルシェなのか?本当にエルザの頭を疑いつつもそれは職人通りでしょ、なんて言ったら思っていた通りの言葉が返ってきた。

「あっそうだね!通りでマルシェにないんだよ……はぁ」
「少しは頭使ったらどうなの」
「うっ…わかってるよ」

そうとなればと二人揃って職人通りに向かった。ここからだとかなり遠いけどね。
多少話をしていれば案外早く感じるもので、思っていたより退屈もしなかった。毛皮の大きさがわからないだとか言いつつ最終的には一番大きい毛皮を3枚買った。荷物が多そうだったから一番に会計の終わった銅10個を抱えた…んだけど思っていたより全然重くてまともにあるけなかった。自分の筋力のなさに苛立ちすら覚える。前が見えないエルザがよろよろとこちらにきて毛皮と絹をおろした。半分持つよと言いつつ6個取ってもう一度毛皮と絹を抱えなおして噴水広場に戻っていく。戦闘中でも無いのに背中が大きかった。
依頼人に商品を渡して、報酬を貰った。報酬も最初は受けとるのを拒否するぐらいお人柄のこいつ。どうしてかっこいく感じるのか本当にわからない。本人に言ったってよくわからないですみたいな顔されてこっちが恥ずかしいだけだから絶対に言ってやらない。けど、この気持ちを誰かと共有したい。エルザはかっこいいんだ!まるで父さんを尊敬するように言った。目の前の鳩に向かって。




11.06.27


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