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※この物語はシリアルです。

結論から言おう。私には友達が居ない。

友達が少ない以前に、居ない。
少しでも友達が居るそこの君たち、友人は大事にするんだよ。え?友達は居るけどその友達には自分より仲の良い友達が居る?構わん、殺せ。


暗い過去を抱えているので、人間不信になり友達が作れない。という訳ではない。
確かにこの目の色の所為でいじめられたり、この血統の所為でうっ払われたりしたが、暗い過去を抱えているわけでは…あるかもしれない。
いや、だからと言って人間不信ではない。
前の世界では友達は居たけれども私より仲の良い友達が彼女には居たし私のことを都合良く利用してくるので疑心暗鬼になり友達は作らないと心に決めたが断じて人間不信ではない。ごめんなさい嘘吐きました。人間不信でした。

まあ、そんな私は気が付けば無表情がステータスの能面やろうと言うことだ。
ちなみに、この世界の人物に能面やろうと言ったところで能面はジャパニーズ文化なので通用しないから気をつけてほしい。


さて、冒頭早々結論を述べてしまったが本題に入ろう。
今日は訓練兵の入団式で、かく言う私も真新しい制服に身を包み桜が舞い散る並木通りの中登校中に曲がり角でぶつかったがお互い新入生だったこともあって意気投合した友達と談笑しながら必死こいて勉強して受かった高校へ向かうーーなんて事は妄想で、現実では般若の形相をした教官に恫喝されると言うなんともショッキングな通過儀礼を受けていた。
ちなみに私は教官に素通りされたので通過儀礼を終えているらしい。通過儀礼とは何だったのか。

可愛い金髪の男の子が罵倒されていたり、よく分からない馬面が教官に頭突きされていたり、敬礼を左右逆に行った坊主が教官に持ち上げられていたり。極めつけは蒸かした芋を食べ始める奴が居たことだ。異世界こわい。
とにかく、関わるのは最低限にして生きよう。そうしよう。
早くも訓練兵生活での目標が決まった所で飯を迎えに食堂へ向かう。
頭の中が飯についてしかなかったので食堂の入り口にたむろってた主人公、他はスルーだ。何日食事を取っていないと思っているんだ!

「あ。」

心臓が右にあるらしい坊主が私を見て声を発した。
反射的に顔を向ける。彼は私より小さかった。ミニマム坊主(心臓が左ではない)。

「なあ、お前も通過儀礼で教官に恫喝されてなかったよな。どこ出身なんだ?」

無垢な顔で質問を突き刺してくるミニマムに私の心は傷付いた。
残念ながら我が故郷はこの世界にはないし、かといって収集家が居た地域の名前は知らない。じゃあ開拓地?それはそれでなんかやだ。

無言な私に何かを察した、傍にいる黒髪そばかすマンがミニマムを止める。
まあ、結果オーライだしいいや。体を反転させて食堂に入った。暖かいご飯が待っている。

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